第2章 振興の基本方向 3 基本方向

 「平和で安らぎと活力のある沖縄県」の実現を目指し、民間主導の自立型経済の構築、アジア・太平洋地域の発展に寄与する地域の形成、大学院大学を中心とした世界的水準の知的クラスターの形成、安らぎと潤いのある生活空間の創造に向けた諸施策を推進する。

 また、持続的発展のための人づくりと基盤づくり、地域の均衡ある発展と基地問題への対応を推進する。

(1) 民間主導の自立型経済の構築

 沖縄が自立的発展への軌道に乗り、大競争時代に生き抜く魅力ある経済的活動拠点として、新世紀の我が国の発展の一翼を担うべく、活力ある民間主導の自立型経済を構築する。

 こうした展開に向け、発展可能性の高い産業領域を戦略的に振興し、他の産業分野との連携を通じてその波及効果を高め、経済全体の活性化を図る。

 現在、観光・リゾート産業が沖縄のリーディング産業としての地位を確立し、情報通信関連産業が新たなリーディング産業として期待される状況にある。これらの産業に加え、地域特性を生かした農林水産業、特別自由貿易地域制度等を活用した加工交易型産業、国際物流関連産業、沖縄の地域特性や資源を積極的に活用した健康バイオ産業、環境関連産業等が戦略的に振興すべき重点産業として期待できる。

 観光・リゾート産業においては、国際的海洋性リゾート地の形成、国民の総合的な健康保養の場の形成に向けた取組を強力に進めるとともに、体験滞在型観光を推進するなど、通年滞在型の質の高い観光・リゾート地の形成を図る。

 情報通信関連産業については、産業の集積や情報通信ハブの形成を実現するための基盤整備を図るとともに、産学官が連携して、幅広い分野での高度な専門知識と技術を身につけた人材の育成などを進め、新たな産業としての可能性を追求する。あわせて、情報通信技術の発達に対応し、地域の産業振興を図るため、産業の情報化を促進する。

 農林水産業については、地域特性を生かしたおきなわブランドの確立と生産供給体制の強化を図るとともに、総合的な流通・販売・加工対策、亜熱帯・島しょ性に適合した農林水産業基盤の整備等を進め、その持続的な振興を図る。

 また、特別自由貿易地域や金融業務特別地区等において企業立地等を促進する。

 さらに、沖縄の地域特性や資源を活用した特色ある産業として、健康バイオ産業や環境関連産業等について、新事業展開を促進するための支援策を講じ、地域産業の活性化を図るとともに、チャレンジ精神を持った起業家の創造的な活動が十分に展開できる環境を積極的に整備する。

 製造業、建設業をはじめとする地域産業については、市場競争力の強化を基本に、情報化への対応、流通体制等の強化等を図り、活力ある産業として振興を図っていく。

 また、雇用の促進と人材の育成を図り、自立型経済の構築に向けた意欲ある担い手の確保に努める。

(2) アジア・太平洋地域の発展に寄与する地域の形成

 アジア・太平洋諸国に近接した地理的特性、亜熱帯・海洋性などの自然的特性、国際性豊かな歴史的特性など沖縄が持つ地域特性を生かし、アジア・太平洋地域における各種の結節機能を育成・強化する。

 このため、アジア・太平洋地域の交流拠点形成に向けた空港、港湾等の諸基盤や高次の都市機能を整備するとともに、航空・航路ネットワークの拡充など各種の条件整備を進める。また、関係機関の支援協力を得ながら、平和交流、技術協力等の国際貢献活動を促進するとともに、経済、学術、文化等における多角的な拠点の整備と交流を促進する。また、大規模自然災害に対応した情報通信分野のバックアップ機能、国際医療救急支援機能や地球環境汚染の未然防止に向けたモニタリングの体制等の整備を図る。

 さらに、交流の場に必要なコンベンション機能の充実はもとより、世界レベルの学術研究、芸術文化などの拠点づくりを進める。

 国際交流・協力拠点として、地域における国際化に向けた取組や世界各地とのネットワークの形成を図っていく。

(3) 世界的水準の知的クラスターの形成?大学院大学を中心として

 民間主導の自立型経済の構築を目指すうえで、ハイテク技術の果たす役割が沖縄経済にとっても飛躍的に高まっている。

 このため、沖縄における科学技術の振興及び我が国の科学技術の進歩の一翼を担い、また、アジア・太平洋地域さらには世界に開かれた中核的研究機関として、我が国の大学のあり方のモデルとなるような「国際性」と「柔軟性」を基本コンセプトとした新たな発想を持った世界最高水準の自然科学系の大学院大学等を核に他大学、公的研究機関及び民間企業・研究所の集積と一体となった知的クラスターの形成に取り組む。

 また、大学や高等専門学校等高等教育の質的向上を図るとともに、科学技術創造立国を担う高度な技術と専門的知識を持った人材の養成・確保に努める。

 このような知的クラスターの形成を通じて、付加価値の高い新しい産業活動の創出を図り、活力のある沖縄経済の発展を追求する。

(4) 安らぎと潤いのある生活空間の創造と健康福祉社会の実現

 美しい沖縄を次の世代に引き継ぐとともに、県民が安らぎと潤いのある生活を享受できる地域社会を形成する。

 このため、自然環境の保全・創造に努め、環境共生型社会の構築に向け取り組む。

 また、上下水道、公園、緑地、住宅の整備等、快適で潤いのある生活環境を支える基盤の整備を図る。

 県民が、情報通信技術を積極的に活用し、かつそれを最大限に享受できる高度情報通信ネットワーク社会の実現に向け、情報通信基盤の整備や地域の情報化を促進するとともに、情報格差の解消に努め、電子自治体の構築を進める。

 県民が、豊かな自然の恵みを得て、安らぎと潤いのある生活を享受できる美しい県土、美ら島の創造を目指し、都市・農山漁村の連携と総合的整備に取り組むとともに、自然と調和した災害に強い県土づくりを進める。

 また、だれもが安全で安心して暮らせる健康福祉社会の実現に向け、子どもたちが健やかに生まれ育つ環境づくりや、高齢者・障害者がいきいきと暮らせるための社会づくりを進める。

 健康志向の高まりやいやしの求めにこたえ、県民の長寿の維持や健康増進はもとより、国民的な健康保養の場の形成にも資する保健医療基盤の充実、技術の高度化、人材の育成に努める。

 また、あらゆる分野における男女共同参画を進めるなど、多様性を認め合いながら互いに支え合う社会の実現を目指す。

 さらに、災害や事故、犯罪などに有効に機能するシステムを整備する。

(5) 持続的発展のための人づくりと基盤づくり

 沖縄が持続的に発展していくためには、人材の育成・確保が重要であり、産業、福祉、医療、学術・文化等の各分野を支える多様な人材を育成する。

 このため、人間性が豊かで創造性に富む児童生徒の育成を目指し、学校教育の一層の充実と家庭や地域の教育力の向上を図っていく。

 産業振興の観点からは、今後の方向性を踏まえて、産業界をリードする高度な人材が求められており、そのための戦略的な人材育成を進める。

 一方、県民生活の安定向上と産業経済の持続的発展を図るためには、その基盤となる各種社会資本の整備が重要であり、環境の保全に配慮しつつ、これまで以上に戦略的、重点的整備を図るとともに、亜熱帯・島しょ地域特性を踏まえた技術や整備手法の確立に努める。

 このため、交通通信体系については、国際交流拠点にふさわしい規模・機能を備えた空港や港湾の整備を図るとともに、沖縄都市モノレールと連携した質の高い公共交通サービスの実現や道路網の一層の体系的整備を進める。また、高速・大容量・低コストを実現する多様な情報通信基盤及び情報システムの整備を促進する。

 さらに、県民生活の向上や人口、観光客の増加等に伴い、今後とも水需要の増加が見込まれることから、多様な水資源の開発と保全を図り、水の安定的確保に努める。また、エネルギー需要に対応して、その安定供給を図るとともに、環境に配慮した電源開発を促進する。

 さらに、既存の社会資本ストックの適切な維持管理、更新及び有効活用に努めるとともに、自然環境との調和を図りつつ、バリアフリーの推進、情報化社会への対応など新たなニーズに対応した整備を図る。基盤整備に当たってはソフト施策との連携を図るとともに住民やNPOとの連携、協力並びに公共事業のコスト縮減等に努める。

(6) 県土の均衡ある発展と基地問題への対応

 県内の各地域が、それぞれの特色を生かした地域づくりを行うとともに、こうした取組の連携・波及を通じて県土全体の均衡ある発展を図っていく。

 交通や通信の発達に伴い、生活、産業、文化等の活動が、市町村や各圏域を越えて広がっている。このため、地域における住民福祉の向上や産業の振興を図ることは当然のこととして、より広域的な視点に立って、地域間連携による新たな活力の創出や産業の高度化などを促進する。これにより、それぞれの地域の特性や個性が互いに磨かれ、創意工夫を競い合う主体的な地域づくりが進展し、県土全体が発展する。

 各種基盤の整備に当たっては、それぞれの地域や圏域の抱える課題に的確に対応しつつ、地域連携や地域づくりが促進されるよう効果的に進める。

 地域における振興施策の展開に当たっては、地域間相互の連携や交流による役割や機能の分担を図りつつ、域内の地域間バランスに配慮しながら施策、事業を効果的に展開する。

 価値観や生活様式が多様化する中で、離島・過疎地域は、豊かな自然環境に恵まれた生活空間を有するとともに、その保全の役割を果たしており、地域の創意工夫のもと、その特性を最大限に生かした地域づくりを進める。

 米軍施設・区域の整理・縮小については、県民の過重な基地負担の軽減と県土の有効利用や沖縄の振興を図る観点から積極的に取り組む。

 また、県民の健康及び安全等を確保するため、米軍施設・区域内の環境保全対策の充実については、米国政府と引き続き協議していく。

 沖縄に存在する米軍施設・区域の面積規模は、沖縄島において約19%を占めており、その返還跡地は、これからの沖縄振興を図る上で貴重な空間である。このため、SACO最終報告等で返還が合意された施設・区域については、計画的、段階的な返還及び跡地利用計画を策定することにより、良好な生活環境の確保、健全な都市形成、新たな産業の振興、交通体系の整備、自然環境の保全・再生等、21世紀のまちづくり、田園づくり等のモデルとなるよう整備を進める。

 特に、普天間飛行場跡地については、中南部都市圏の枢要な位置にあることから、整備に当たっては、その役割・機能を明確にした跡地利用計画を策定し、今後の地域開発のモデルとなるよう取り組んでいく。

 また、沖縄における不発弾処理や旧軍飛行場用地など戦後処理等の諸問題に引き続き取り組む。