第3章 振興施策の展開 1 自立型経済の構築に向けた産業の振興

 活力ある民間主導の自立型経済の構築に向け、沖縄の産業の持つ競争力や産業展開の可能性を見極めて、観光・リゾート産業、情報通信関連産業、農林水産業、特別自由貿易地域制度等を活用した加工交易型産業、国際物流関連産業、地域資源等を生かした健康食品産業、環境関連産業等を、県経済をけん引する重点産業として戦略的な振興策を展開する。

 また、地域経済を支える製造業、建設業等の既存産業については、市場ニーズや環境の変化に対応した取組を促進する。

 さらに、産業活動の効果的展開のための環境整備を進めるとともに、重点産業と他の地域産業との連関を深め、産業間の相乗効果を高めることにより、経済全体の発展を図る。

 あわせて、人材を育成・確保するとともに、研究開発等技術の向上を図ることにより、産業の高度化を促進する。

(1) 質の高い観光・リゾート地の形成

 美しい海と豊かな自然、沖縄独特の歴史、文化等魅力ある地域特性を生かし、国際的な海洋性リゾート地の形成や国民の総合的な健康保養の場の形成、エコツーリズム、グリーンツーリズム等の体験・滞在型観光の推進、さらにはコンベンション拠点の形成など、多様なニーズに対応した通年・滞在型の質の高い観光・リゾート地の形成を図る。

 ア 国際的海洋性リゾート地の形成

 国際的な海洋性リゾート地の形成に向け、観光振興地域制度を積極的に活用し、宿泊施設、ショッピング施設、レクリエーション施設、文化施設等観光関連施設の集積を促進するとともに、道路、港湾、公園、海浜等の観光関連公共施設の一体的・重点的な整備を推進する。
また、沖縄におけるショッピングの魅力の向上を図るとともに、さらにその新たな魅力の創出に向け、沖縄型特定免税店の空港外展開と併せて国際ショッピングモール構想の推進を図る。
さらに、国営沖縄記念公園における世界的規模の新水族館をはじめ、観光拠点施設の整備を推進するとともに、部瀬名地域及び中城湾港泡瀬地区においては、国際性や海洋性を備えたリゾート拠点の形成を図る。
観光・リゾート地のネットワーク化を強化する道路網の整備を進めるとともに、景観や周辺環境に配慮した道路、歩道・遊歩道、公園・緑地、マリーナ・フィッシャリーナ、海岸・養浜等、アメニティを高める公共インフラの整備を推進する。
また、自然環境の保全や再生に積極的に取り組むとともに、電線類地中化等良好な景観の形成、沖縄らしい魅力ある県土の修景緑化やまちづくり等を推進し、快適で美しい観光・リゾート空間の創出に努める。

 イ 国民の総合的な健康保養の場の形成と体験・滞在型観光の推進

 高齢化の進展、心の豊かさやいやしを求める国民の価値観とライフスタイルの変化、さらには健康志向の高まりなどに対応して、沖縄の持つ温暖な気候や豊かな自然環境、健康長寿に適した生活環境等の地域特性を生かし、沖縄を長期滞在も可能な国民の総合的な健康保養の場と位置づけ重点的にその形成を図る。
このため、国際的な海洋性リゾート地の形成のための施策に加え、保養、健康増進等に関連する施設、機能の整備や、これを支える保健医療機関とのネットワークの充実を図る。
また、障害者や高齢者に配慮し、バリアフリー化を図るなど安心して快適に滞在できる施設づくりを促進する。
さらに、健康面での保養効果の検証も含め、健康増進や高齢者保養に関するモデル事業の実施など、健康保養の場の形成に向けた地域における様々な取組を促進する。
また、沖縄の多様な食材を生かし、健康の保持増進に資する食の提供や健康食品の開発、普及等の促進を図る。
沖縄の豊かな自然を生かし、エコツーリズムを促進する。
このため、保全利用協定の活用を促進するとともに、国立・国定公園をはじめとする自然公園の保護、整備等に努め、西表野生生物保護センター、やんばる野生生物保護センター及び国際サンゴ礁研究・モニタリングセンターにおいては、貴重な生物資源の研究・保護活動と併せて、エコツーリズムの拠点としての積極活用を図る。また、地域の特性を踏まえたエコツーリズム等のルールづくりや、自然環境と調和した魅力あるプログラムの作成を促進するとともに、情報の収集、提供等に努める。
また、保全利用協定等の活用を併せて図りながら、亜熱帯地域の豊かな自然環境、景観、伝統文化等を生かしたグリーンツーリズム、ブルーツーリズム、ダイビング、修学旅行生の体験学習を積極的に促進する。
さらに、世界遺産の首里城跡をはじめとする「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の保全と周辺を含めた整備及び歴史的な建造物・まち並みの保全や復元を図るとともに、これらをネットワーク化した琉球歴史回廊の形成を促進する。
体験・滞在型観光に関連する体験提供施設等の整備を図るとともに、多様な宿泊施設の整備を促進する。
また、体験・滞在型観光のガイド、インストラクター等の養成に取り組む。

 ウ コンベンション・アイランドの形成

 サミット首脳会合の開催地としての実績と、県全域がリゾート地ともいえる沖縄の特性を生かして、沖縄観光の付加価値の向上に資する国際会議等の開催を推進するほか、野球、サッカー等のスポーツキャンプの誘致、各種芸能、音楽の交流を促進するなど、コンベンション・アイランドの形成を図る。
国際会議等各種会議の沖縄開催については、各省庁連絡会議の活用をはじめ、国、沖縄県、国際観光振興会等が一体となって積極的に取り組む。
また、コンベンション需要に対応し、国際会議場等コンベンション施設の整備を促進するなど、コンベンション機能の充実を図る。
さらに、コンベンション受入体制の充実を図るため、国際会議等の専門業者の育成、ボランティア組織の充実強化、国際会議等にも適応できる専門的な通訳の育成、接遇研修の実施等人材育成を強化する。

 エ 国内外の観光客受入体制の整備と誘客活動の強化

 県民と行政が一体となった良質なサービスの提供、安全・衛生対策の実施、環境の美化、台風時の観光客対策、(財)沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)の充実強化、市町村等との連携強化など、観光客の受入体制を整備するとともに、温かく迎えるためのホスピタリティーの高揚に努め、リピーターの増加と観光・リゾート地としての評価の向上を図る。
また、外国語の案内標識の整備、外国人向け観光案内所の充実など、外国人にも優しい観光地づくりを推進する。
観光情報システムの充実強化を図るとともに、沖縄の豊かな自然景観や、独特の風土、伝統文化、歴史等をデジタルアーカイブスとして整備し、沖縄情報の発信機能を強化する。
観光客の多様なニーズに対応できる人材の育成・確保を図るため、県内大学、専門学校等における観光関連の学科等の拡充強化を促進する。
沖縄への誘客については、魅力あるイベントの創出を図るとともに、行政と旅行関係企業・団体が連携して、誘客プロモーションを強化する。
また、海外における誘致宣伝活動については、県及びOCVBの海外事務所のほか、国際観光振興会の海外ネットワークを通じた沖縄観光の宣伝・情報提供等に努め、中国、台湾、韓国、香港等を中心に外国人観光客の誘致を強化する。
沖縄観光をさらに魅力的なものにするため、夜間や、雨天時及び季節を問わず楽しめるショービジネスをはじめとした多様なエンターテイメントづくりを促進する。
国内外航空路線網の拡充を促進するとともに、当面航空運賃及び沖縄自動車道通行料金の低減に係る措置を継続し、アクセス条件の改善を図る。
那覇空港については、沖合いへの空港施設の展開等について検討を行い、必要な整備を図るとともに、旧国内線ターミナル地区の利用について検討を行い、必要な整備を図る。また、貨物ターミナル等狭あい化が進みつつある地区について、所要の施設の整備拡充を図る。那覇空港へのアクセスを向上させる那覇空港自動車道、沖縄西海岸道路、臨港道路(空港線・浦添線)、沖縄都市モノレール等の整備を推進する。
また、沖縄と国内外を結ぶクルーズ船の寄港・就航を促進するため、旅客船ターミナル等の港湾施設の整備を進めるとともに、観光案内等の受入機能の充実を図る。
さらに、沖縄県内における観光客の移動の円滑化を図るため、共通乗車船券制度及び利用者利便増進事業制度の活用を促進する。

 オ 産業間の連携の強化

 沖縄経済をダイナミックにけん引するリーディング産業として、産業間の連携を強化し、観光・リゾート産業の経済波及効果の拡大を図る。
このため、土産品の製造販売等を通じた製造業や伝統工芸産業の活性化を図るとともに、農林水産物等消費財の県内供給の拡大を促進する。また、沖縄らしい料理サービスとして、地域食材を生かした料理メニューの開発、食材の供給体制の整備を推進する。
さらに、保健、医療、福祉との連携を強化するほか、健康増進、美容等のためのケアビジネスや、海洋レジャー、スポーツ活動の拡大に対応した関連産業の新規創出を促進するとともに、音楽、文化、芸能、ファッション産業等との連携を図る。

(2) 情報通信関連産業の集積

 これからのリーディング産業として期待のかかる情報通信関連産業の集積を図るため、既存企業の振興を図るとともに新たな企業の立地促進を図る。また、高度な専門知識を有する人材の育成・確保、研究開発の促進、情報通信基盤の整備等を戦略的かつ機動的に促進する。
情報通信関連産業を集積することにより、グローバルなインターネット・イクスチェンジの整備を促進し、アジア・太平洋地域における国際的な情報通信ハブの実現を図る。

 ア 情報通信関連産業の立地促進

 沖縄において成長が見込まれる情報サービス分野、コンテンツ制作分野、ソフトウェア開発分野を中心に、情報通信関連産業の振興を図る。
このため、情報通信産業振興地域制度や情報通信産業特別地区制度を積極的に活用しつつ、本土沖縄間の通信コストの低減化支援及び高度な情報通信機能や技術開発、研修等の設備を備えたインキュベート施設等の産業支援施設の整備等、地域の実情を踏まえながら戦略的な企業立地環境の整備を促進し、国内外からの情報通信関連産業の誘致及び県内情報通信関連産業の振興を図るとともに、起業を支援する。
また、情報通信関連産業の集積を図るために必要な公共施設の整備に努める。
情報サービス分野については、情報通信産業振興地域を中心に、コールセンター等の情報通信技術利用型事務処理センターの立地促進及び振興を図るとともに、情報通信産業特別地区においては、国内外の情報通信関連産業の立地要因となるデータセンター、インターネット・サービス・プロバイダ及びインターネット・イクスチェンジ等の中枢機能を有する企業の立地を促進する。
コンテンツ制作分野については、名護市マルチメディア館等県内の施設のネットワーク化を促進し、最先端のデジタルコンテンツの制作環境の整備を進める。クリエーター、プロデューサー等人材の確保、県外からの業務受注支援や県内クリエーター等の起業支援、国内外コンテンツ制作企業の立地を促進する。
また、観光情報の発信や沖縄の自然、歴史、風土、文化等の保存や継承、発信に向け、デジタルアーカイブスの整備を行うとともに、国内外コンテンツの集積を推進する。
ソフトウェア開発分野については、県内企業への先進的技術の蓄積及び新規事業分野への業務拡大を促進するため、県外市場等の獲得に向けた企業のプロモーション活動を支援する。
また、電子政府、電子自治体の実施に伴う公用アプリケーションの開発を強力に推進するなど先進的アプリケーションの集積を促進する。

 イ 人材の育成・確保と研究開発の促進

 情報通信関連産業の振興を図る上で最重要課題である人材の育成・確保については、産学官が連携して、幅広い分野で、高度な専門知識と技術を有する人材を早期・大量に育成するとともに、国内外から優秀な人材を招致し、情報通信関連産業を支える研究開発及び技術の集積を図る。
このため、技術革新に対応し、IT技術者のプログラミング、ネットワーク、データベース等の高度な技術活用能力や開発管理能力、企画提案能力等の総合的な高度化を図る。各種研修事業等の実施により、コールセンター等の高度化、多様化に対応した人材を大量に育成する。また、情報通信・放送分野の専門技術者を育成する。
情報通信関連産業を担う高度技術者の育成・確保を図るため、専修学校における企業ニーズに対応した即戦力となる人材育成を促進する。琉球大学や県立芸術大学、県内私立大学におけるIT関連教育の充実強化を促進するとともに、沖縄工業高等専門学校における実践的技術者教育の充実に努める。
さらに、Uターン、Iターンの促進や、世界水準の技術者、経営者などを国内外から招致するとともに、IT先進国への学生等の派遣により、国際性豊かな広い視野と高度な技術を身につけた人材の育成・確保に努める。
長期的な視点に立った小中高校の情報教育の充実強化を図り、児童生徒の発達段階に応じた情報活用能力の育成を体系的に行うとともに、IT教育センター等を活用した教育関連コンテンツやソフトウェアの研究開発と普及、教育指導者の育成及び情報活用能力の向上に努める。
また、沖縄の地理的な特性を生かし、アジア・太平洋地域のIT技術者の育成と交流拠点を形成するため、JICA沖縄国際センター等におけるアジア・太平洋地域のIT技術者を対象とした人材育成や人的交流を推進する。あわせて、これらアジア・太平洋地域からの研修生との交流機会の確保に努める。
大学などの研究成果を生かし情報通信関連産業の技術の高度化を図るため、琉球大学をはじめとする県内大学及び国の研究機関における情報通信技術の研究開発を促進するほか、研究開発施設の立地の促進と研究機関相互の連携強化に努める。

 ウ 情報通信基盤の整備

 情報通信関連産業を集積するため、高速・大容量・低コストを実現する多様な情報通信基盤の整備を促進する。
また、情報通信関連産業の立地促進及び振興を図ることにより、国際的な情報通信ハブの形成に必要なインターネット・イクスチェンジの整備を促進する。
さらに、沖縄県総合行政情報通信ネットワークの整備拡充を図るとともに、地域情報格差の是正、住民生活の向上等を図るため、情報通信基盤の整備を促進する。

 エ 産業における情報化の促進

 高度情報化の進展や情報通信技術の革新に伴う流通構造の変化などに適切に対応し、地域産業の一層の振興を図るため、産業の情報化を促進する。
このため、情報化に向けた投資や人材育成などの取組を促進し、情報の共有化や新たな事業価値を生み出すネットワークの形成を図る。
また、中小企業におけるインターネットや、LAN、電子商取引など情報通信技術の導入を促進し、経営管理・生産の効率化を進めるとともに、県外、海外市場への一層の展開を図る情報発信機能の強化を促進する。
さらに、製造業分野における在庫管理や消費者需要動向の把握、商店街の活性化に向けた顧客管理やイベント情報を発信するためのインターネットの活用等の情報化を促進する。また、商工会、商工会議所及び県中小企業団体中央会による情報化対策の充実強化を図る。
あわせて、SOHO(スモールオフィス・ホームオフィス)、テレワーク等の新たなビジネス形態の導入を進める。

(3) 亜熱帯性気候等の地域特性を生かした農林水産業の振興

 亜熱帯性気候特性等を生かした活力ある農林水産業の振興を図るため、優位性の発揮や生産性向上が期待される重点的に推進する品目を定め、地域特性や地域の諸条件に適合した選択的かつ集中的な振興施策を推進し、豊かな太陽エネルギー等の環境で育まれたおきなわブランドを確立するとともに、環境と調和した持続型農林水産業への取組を強化する。

 ア おきなわブランドの確立と生産供給体制の強化

 我が国唯一の亜熱帯性気候等の優位性を生かした活力ある産地を形成し、健康長寿や観光・リゾート地にふさわしい高品質かつ安全で安心な農林水産物を、消費者や市場に安定的に供給することにより、おきなわブランドを確立する。
このため、市場競争力の強化により生産拡大が期待される園芸作物をはじめとした農林水産品目については、拠点となる産地を中心として、共同利用施設等の各種近代化施設の整備、収量、品質及び安定供給力の向上に向けた新技術の開発・普及など、各種施策を集中的に実施するとともに、生産・出荷の組織化を促進し、計画的、安定的に出荷できる産地を形成する。
基幹作物であるさとうきびなど、農林水産業の安定的な振興を図る上で重要な品目については、生産基盤を整備するとともに、新技術の開発・普及、生産施設の整備、畜産環境対策、水産資源の適切な保存・管理等を推進し、生産性の向上を図りつつ安定的な生産供給体制を確立する。特に、さとうきびについては、担い手の経営規模拡大、農業生産法人や受託組織の育成、機械化一貫作業体系の導入などにより、生産コストを低減するとともに、生産の維持増大を図る。

 イ 流通・販売・加工対策の強化

 大消費地から遠隔にある島しょ県の輸送上の不利性を軽減するとともに、県内外の消費者・市場に品質の高い信頼される農林水産物及び加工品を効率的かつ安定的に供給できる流通・販売・加工体制を構築する。また、市場競争力の強化に向けたマーケティングの充実を図る。
このため、共同出荷場、水産物卸売市場等の各種流通施設の整備・再配置による県内物流の効率化を促進するとともに、生鮮品等の高品質保持流通システムを構築するほか、船舶・鉄道等を活用した輸送コストの低減対策を推進する。
適格な品質表示の徹底、産地情報の発信機能の強化、クレーム処理体制の確立等により、消費者や市場から信頼されるおきなわブランドの確立に向けた出荷・流通体制を整備する。
農林水産物流通情報システムの整備、観光需要を含む地産・地消体制の整備、地域農林水産物のマーケティング力の強化等により、県内外の市場動向等に対応した販売・供給体制を構築するとともに、積極的な販売促進に取り組む。
特に、観光・リゾート産業、健康食品産業等との連携を強化し、地域食材を活用した料理、特産品の開発を促進するとともに、ニーズに応じた地域食材等を安定的に供給する体制の整備を促進する。
農林水産物の付加価値を高める特産品やモズク等を利用した健康の維持増進に働く食品の開発を促進するとともに、HACCP方式に対応した加工処理施設の整備を促進する。また、素材の特性を生かした特色ある加工品の開発を推進する。
製糖企業については、経営の合理化、さとうきびの総合利用を促進し、特に、含みつ糖については、新商品の開発、販売促進等による経営体質強化に向けた取組を促進する。

 ウ 担い手の育成と農林水産技術の開発・普及

 担い手の減少や高齢化、産地間競争の激化等に対処するため、新規就業の促進、意欲ある経営感覚に優れた担い手の育成・確保を図るとともに、経営の安定・発展に向けた支援体制の充実強化を図る。

新規就業者の支援をはじめとした後継者育成対策等を充実強化するとともに、認定農業者制度を推進し、農地流動化施策等の強化による経営規模の拡大、農業生産法人、作業受託組織等の育成・強化を図る。また、新規就業者等による養殖業、ブルーツーリズム等の展開を支援する。
農業協同組合や漁業協同組合が地域農水産業の振興と地域活性化に十分その機能を発揮できるよう組織・機能の再編・整備を促進し、経営基盤の拡充強化を図るとともに、経営管理能力の向上、技術・経営指導体制の充実強化を促進する。
沖縄では、台風災害が多いこと、他府県とは異なる多様な魚種を養殖していること等の沖縄の特性を考慮した共済制度の拡充強化を促進するとともに、農林漁業金融の充実やこれまで講じてきた主要農水産物についての価格対策を引き続き実施する。
亜熱帯地域の特性等に適合した技術の開発・普及を推進し、市場競争力や生産体制を強化するため、産学官の連携による優良品種・種苗等の掘り起こしを推進するとともに、省力・低コスト化に向けた技術、高品質・安定生産技術等の開発・普及や未利用資源の研究開発等を推進する。
経営感覚に優れ、技術力の高い担い手を育成するため、試験研究機関、農業大学校、普及センター等が連携を図り、教育・指導を充実する。
技術情報提供システムを整備強化するとともに、農林漁家巡回指導等の充実を図り、高度先進技術の迅速な発信、わかりやすい情報提供を推進し、普及の徹底を図る。
亜熱帯農林水産業の技術開発拠点である農業研究センター、林業試験場及び水産試験場等の再編整備を推進するとともに、本県と類似した地域・海域特性を持つアジア・太平洋地域等と連携した農林水産技術の交流を推進する。

 エ 亜熱帯・島しょ性に適合した農林水産業の基盤整備

 亜熱帯特性等を生かした特色ある農林水産業の振興を図るため、亜熱帯・島しょ性の地域特性に適合する生産基盤の整備を推進する。
沖縄の気象、地形、地質、営農形態に応じた、地下ダム等の農業用水源の確保、かんがい施設、ほ場等を計画的に整備する。特に、農業生産力の維持向上を図り、赤土等の流出を防止するためのほ場勾配の抑制やグリーンベルトの設置、沈砂池等の整備を積極的に推進する。また、台風等の影響を強く受ける沖縄の気象条件や侵食されやすい土壌条件等に対応した防風施設、農用地保全施設等を整備する。
森林の有する多面的機能の発揮や林業の持続的かつ健全な発展を図るため、多様な森林の計画的な整備・保全を図るとともに、潮害等の防止のための海岸防災林の整備・保全を行う。
温暖でサンゴ礁の発達した海域特性を活用したつくり育てる漁業の育成や漁船漁業の健全な発展を図り、また、台風時の漁船の安全確保等に資するため、魚礁、増養殖場等の漁場及び漁港の一体的な整備を推進し、併せて海洋レクリエーションの進展等に対応した多目的活用を図る。
これら、生産基盤の整備に当たっては、農林水産業が自然循環機能を有する産業であることを考慮し、周辺の生態系等に配慮した整備に努める。

 オ 環境と調和した農林水産業の推進

 農林水産業の自然循環機能の維持増進と豊かで美しい環境の保全を図り、環境と調和した農林水産業を推進する。
このため、環境負荷の軽減に配慮した作付体系の確立、堆きゅう肥等有機質資源を活用した土づくり、農業用廃プラスチックの適正処理、自然エネルギーの活用等を推進する。特に、家畜排せつ物の低コスト処理や有効活用技術を確立するとともに、耕畜連携による家畜排せつ物の農地還元を基本に、環境と調和した資源循環型の農業を促進する。
法的に移動規制の対象となっているイモゾウムシ等の根絶、有害なミバエ類の再侵入防止対策について、不妊虫放飼法や誘引剤を活用するなど環境負荷の低い害虫防除を推進する。また、病害虫対策については、施設園芸作物等への天敵昆虫の導入、さとうきび害虫防除へのフェロモン活用など、環境にやさしい技術の確立・普及を図る。
農地からの赤土等の流出を防止し、農業生産力の維持向上、海域等の環境保全を図るため、ほ場の勾配修正、グリーンベルトの設置等と併せて、緑肥作物の導入、作付け体系の改善等、環境の負荷軽減に配慮した営農活動の促進に向けた総合的な取組を推進する。
貴重な動植物の保全、身近な自然とふれあう空間の提供、地球温暖化防止等の機能を持つ森林の整備を推進するとともに、木質資源の有効活用を推進する。
また、水産資源の再生産の場である藻場、干潟、マングローブ林及びサンゴ礁域等の保全・再生に努める。

(4) 創造性に満ちた新規企業及び新規事業の創出

 技術開発、経営相談、資金供給、人材育成、情報提供等の総合的・一元的な支援機能の整備や産学官連携のネットワークの構築等を図り、健康食品産業、情報通信関連産業、環境関連産業など地域特性や優位性を生かした産業等の新規事業の創出を戦略的に促進する。

 また、特別自由貿易地域制度、産業高度化地域制度及び金融業務特別地区制度等を効果的に活用することにより、国内外からの企業立地を一層促進する。

 ア 新規事業展開の促進と創業支援体制の整備

 沖縄の地域特性や優位性を生かした新技術・新製品の開発や新たな分野への進出など、新規事業の創出やベンチャー企業の創出を促進し、地域産業の活性化を図る。
(財)沖縄県産業振興公社を中核として各産業支援機関との連携を強化し、人材、技術、特許等の情報の共有化を図るとともに、情報提供のワンストップサービス化を行うなど、研究開発から事業化までの技術面、資金面、経営面の総合的な支援体制(プラットフォーム)の充実強化を図る。
公設試験研究機関の機能や研究支援体制等の充実強化と、産学官の連携を強化し、企業のニーズや市場動向を踏まえた研究開発や、企業、大学等との共同研究を推進する。
TLO(技術移転機関)の創設を支援し、地域産業への速やかな技術移転等を促進するとともに、大学発ベンチャーの育成を図る。また、大学等の研究成果と産業界のニーズを的確に結びつけるコーディネート機能の充実を図る。
健康、バイオについては、健康バイオ研究開発拠点施設を核に、企業が行う事業化を見据えた研究開発を促進するとともに、付加価値の高い新商品開発等を支援する。
また、バイオテクノロジー等最先端技術を利用した亜熱帯生物資源の解析による生理活性物質の探索を推進し、健康食品の差別化、高付加価値化を図るとともに、新たな健康食品の開発を促進する。
新たなビジネスの展開等に潜在的可能性が高い海洋深層水については、製造業や農水産業における研究開発を積極的に進め、新技術・新製品の開発及び事業化を促進する。
CM、テレビ番組、映画などのロケーション撮影に関する各種サービスを提供するフィルムオフィスの設置を促進し、ロケーション撮影の誘致拡大を図り、ひいては映像製作に関するCG等コンテンツ関連産業の事業創出を促進する。
新たに起業化に取り組む個人や創業間もない企業等の円滑な事業展開を促進するため、インキュベート機能の充実やベンチャー企業等の初期投資の軽減を図る資金調達のサポートなど、創業基盤の整備を促進する。
沖縄振興開発金融公庫の出資制度を積極的に活用し、ベンチャー企業等の新事業創出を促進する。
起業家を数多く輩出するため、ロールモデルの活用等により、起業家意識の高揚を図るとともに、新事業の創出及び高度な経営・技術に対応できる人材の育成・確保に努める。
また、若い世代の起業家精神発揚とベンチャー企業への支援のため、学生のベンチャー企業へのインターン派遣を促進する。

 イ 特別自由貿易地域制度及び産業高度化地域制度等の活用

 アジア・太平洋地域における沖縄の地理的優位性や、国内唯一の特別自由貿易地域制度、産業高度化地域制度等の活用に加え、企業ニーズを踏まえた魅力ある投資環境を整備するなど戦略的な取組により、国内外企業の立地を促進し、加工交易型産業等の集積を図る。
このため、特別自由貿易地域において、管理運営法人が実施する立地企業のための事業場の設置や創・操業支援など特別自由貿易地域活性化事業を促進するとともに、今後の特別自由貿易地域の活用状況等を踏まえ、初期投資の負担を軽減する賃貸工場の整備や、土地の賃貸方式の導入及び助成制度の充実に取り組む。
アジア地域を中心とした国際物流市場の活発化と効率的な物流管理のニーズに対応するため、沖縄の地理的特性を生かし、国際的なロジスティクスセンター等の国際物流関連産業を集積し、国際物流拠点の形成を図る。
また、中城湾港新港地区の整備を促進するとともに、具志川沖縄線等道路網の整備を推進するなど、関連基盤の整備を図る。
産業高度化地域においては、製造業等を行う企業及び産業高度化事業を行う企業の立地を促進し、相互の有機的な連携により、製造業等の高度化を図る。
企業誘致については、特別自由貿易地域制度、産業高度化地域制度などの各種優遇措置を積極的に活用し、国内外企業の立地を促進する。

 ウ 金融業務の集積

金融業務特別地区において、金融業務の集積を図り、沖縄における雇用機会の創出、ひいては自立的発展につなげるとともに、我が国をはじめアジア・太平洋地域の経済発展へ貢献する。
このため、金融業や金融関連業務の集積に向け、情報通信基盤を整備するとともに、企業ニーズを踏まえ、レンタルオフィス等、企業立地環境の整備を促進する。また、居住環境を含めた周辺環境の整備を図り、金融センターにふさわしいまちづくりを促進する。
また、雇用助成制度等の各種制度を活用し、国内外からの企業誘致を進める。
さらに、高度な金融知識を備えた人材の確保に努めるとともに、県内の大学等における金融に関する専門コース・講座の開設を促進する。

(5) 地域を支える産業の活性化

 製造業や建設業をはじめとした既存産業の活性化を図るため、内外市場における競争力の強化、経営基盤の強化、経営の革新、情報化への対応、流通体制の強化等、市場ニーズや環境の変化に的確に対応した取組を促進する。

 ア 製造業

 競争力を強化し、一層の活性化を図るため、付加価値の高い製品づくり、売れる商品づくり、県産品の県内市場占有率の向上等の取組を強化する。
このため、内外企業との資本、技術提携を促進し、大消費地における県産品の販路開拓など、市場競争力の強化と市場の拡大を図る。
工業技術センター、(株)トロピカルテクノセンター等試験研究機関における試験研究・技術開発の強化と研究成果の企業への移転を促進し、企業における製品の開発や高付加価値化を促進する。
企業の生産力及び技術力の向上を図るため、ITを活用した生産設備や共同生産・加工施設の整備等を促進するとともに、品質の向上と沖縄産製品のブランド化を目指し、企業の国際規格(ISO)取得やHACCP方式の導入を促進する。
県産品の県内市場占有率を高め地域産業の振興と雇用機会の創出を図るため、産業まつりの開催や県産品奨励運動、地場産業振興支援策の拡充、消費者等の県産品愛用意識向上を図る。
また、企業活動を支える工業用水道等の産業基盤の整備を進める。
工芸産業については、ゆとりと豊かさを求める消費者のニーズにこたえる地域産業として育成を図る。また、伝統的工芸品の安定した供給体制の確立に努め、持続的に発展する産業として自立化を促進する。
このため、試験研究機関との連携を図るとともに、観光・リゾート産業等他分野の産業との連携強化及び新技術の活用を進め、消費者のニーズを的確に把握し、消費者ニーズに対応したデザイン開発や製品開発を促進する。
また、原材料の確保、後継者の育成、技術者の養成等に努めるとともに、インターネットの活用による工芸産業の活性化を図る。
さらに、県民や観光客等が工芸品に気軽に触れ合い、購入できる場として、ファッション、食文化等を取り込んだ工芸振興ゾーンの整備を促進する。

 イ 建設業

 沖縄県の建設業は、生活関連施設及び産業活動基盤づくりを担う産業として、県経済の中で重要な役割を果たしているが、中小零細な事業者が多く、経営基盤がぜい弱であるとともに、公共投資の抑制、民間投資の減少等、厳しい環境の中にある。
このような中で、企業の自助努力のもと、多様化、高度化する建設需要に対応し技術力・経営力の強化を図るため、技術開発やIT等の先進技術の活用、技術者等の育成を促進するとともに、組織化による経営の合理化、合併、協業化等の企業連携の強化、企業体質の近代化等を促進する。
また、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律等に基づき、地元中小・中堅建設業者の受注機会の増大に積極的に取り組むとともに、技術と経営に優れた企業が伸びることのできる透明で競争性の高い市場環境の整備を図る。
さらに、建設産業の持つ技術やノウハウを活用して環境、福祉、観光、情報通信等新分野への進出や維持補修、リニューアル等の社会ニーズの変化への的確な対応を促進する。

 ウ 鉱業

 石灰石等は、自然環境、地域住民の生活環境に配慮した開発を促進するとともに、安定的供給の確保を図る。
多数の採石輸送トラックの往来は、粉塵の発生等により、住民生活や快適な観光・リゾート地のイメージに影響を与えることから、輸送体制の整備に努める。
可燃性天然ガス・石油等の地下資源については、産業振興に寄与する方向で調査及び開発を促進する。

 エ 商業

 モータリゼーションの進展への対応の遅れ、郊外型大型店舗の立地等により、空洞化や衰退化が進む地域の中心市街地の活性化を図るため、市街地の整備改善と商業の活性化に向けた総合的な街づくりを進める。
このため、中心市街地の活性化に取り組むまちづくり機関(TMO)を活用し、市町村が策定する中心市街地活性化基本計画に基づく活性化に向けた様々な取組を支援する。
また、通り会等の組織化や組織力の強化を図り、情報の発信、電子商取引など新たな販売手法の導入等による大型店舗との差別化や、空き店舗の有効活用等を図る。また、タウンマネージャーなど街づくりや活性化を担う人材の育成・確保を図る。
さらに、駐車場等の商業基盤、施設の整備を促進するとともに、街路、ポケットパークの整備、電線類地中化、バリアフリー化及び再開発を促進する。
全国的な流通経路の短縮化や小売業者間の競争激化による取引先の減少等、急速に変化する卸売業の動向に対応して、物流センターの設置等による流通の効率化、受発注システムの高度化などを促進するとともに、卸売団地の整備、リテールサポート等の取組を強化する。

 オ 運輸交通業

 島しょ性や本土からの遠隔性等の特性を有する沖縄において、航空輸送及び海上輸送は、県民の生活路線であるとともに、観光や産業振興に重要な役割を果たしている。陸上輸送については、交通渋滞の緩和や環境問題への配慮から公共交通機関の重要性が増している。このような沖縄の地理的特性や地域社会の発展に伴う人、物の輸送の増大に対応するため、運輸交通の安定的な確保を図る。
また、これらの輸送手段を確保、拡充するため、運輸事業者の経営基盤の安定化を図るとともに、情報通信技術の活用による近代化や合理化を促進する。加えて、各種輸送機関の特性を生かした効率的な輸送体系の確立を図るとともに、物流環境の整備を促進する。
さらに、公共交通機関の利用を促進するため、バス路線網の再編及び渋滞緩和等走行環境の改善を図るとともに、沖縄都市モノレールの需要喚起策を促進する。

(6) 販路拡大と物流対策

 大消費地等国内外の市場における県産品の販路拡大を図るため、生産振興策や物流対策と一体となった積極的な市場展開を促進するとともに、マーケティング機能や販路拡大のための体制を強化する。

 沖縄の貿易振興と県産品の販路拡大を図るため、貿易や取引の相談・あっ旋、国内外の市場情報等の収集・提供、多彩なプロモーション機能等、市場から生産への情報の伝達や製品開発等の機能を一体として有する組織体制を強化する。

 また、海外事務所等を中心としたネットワークを強化し、貿易・経済情報の収集及び提供、物産のPR活動に努め、企業活動の活発化による貿易促進を図る。

 また、おきなわブランドの確立に努めるとともに、物流コストの低減化に向け、県外への製品出荷等を一元的に管理する効率的な物流システムの構築を図る。

(7) 中小企業の成長発展

 県内外における競争の激化、消費者ニーズの多様化、情報化社会の急激な進展などの変化に適切に対応し、中小企業の成長発展を図るため、新規事業の創出に関する施策に加え、経営基盤の強化と体質の改善、経営の革新等を促進する。

 このため、経営革新等を行う中小企業等の情報化、物流効率化、販路開拓等に対する支援を充実強化する。

 中小企業の規模の過小性等を改善するため、組織化及び情報化を支援する。

 また、商工会等の経営改善普及事業等を促進し、小規模事業者の経営の安定と競争力の強化を図る。

 さらに、消費者ニーズに合った製品・サービスの開発、提供など、中小企業が実施する市場競争力の強化、生産性の向上等に必要な取組を促進するため、市場動向調査や新商品・新技術開発、販路開拓、人材育成等を支援する。

 中小企業者の事業活動に必要な資金の調達を円滑化し経営の安定を促進するため、制度金融及び信用補完制度についても、時代の変化等に適切に対応した制度の見直しを図る。

 また、中小企業経営者等を対象とした研修事業や意識啓発セミナーなどの拡充を図り、経営者の資質の向上に努める。

(8) 産業振興を支援する金融機能の充実

 民間主導の産業振興を図るため、円滑な資金供給等金融の円滑化を推進する。

 このため、沖縄振興開発金融公庫においては、沖縄振興特別措置法に基づく地域指定制度等に対応する資金制度を整備し、企業等の積極的な活用を促進する。

 また、新規産業、新規事業の創出を図るため、民間金融機関等と連携してベンチャー企業等への出資や助言等の支援を充実し、その育成発展を図る。