第3章 振興施策の展開 4 環境共生型社会と高度情報通信社会の形成

 沖縄の島しょ性を踏まえ、天然資源の消費を抑制し、環境への負荷が低減される持続可能な循環型社会を実現するため、先導的な取組を推進するとともに、地域の特性に応じ、豊かな自然環境、地域環境の保全・創造を図る。また、快適で潤いのある生活環境基盤を整備するとともに、都市・農山漁村の総合的整備や自然と調和した災害に強い県土づくりを進める。

 さらに、環境影響評価制度の推進を図る。

 また、情報格差の解消や、住民生活の利便性の向上、産業の振興及び行政事務の効率化等を支える情報通信基盤の整備を促進し、豊かで暮らしやすい高度な情報通信ネットワーク社会の実現を目指す。

(1) 循環型社会の構築

 沖縄が世界に誇れる財産である美しい自然環境と社会経済活動との調和を図るとともに、環境負荷の少ない循環型社会を構築する。

 このため、廃棄物の減量化、リサイクル及び環境美化を促進するとともに、処理困難物の適正処理や廃棄物の資源化対策を推進する。

 また、一般廃棄物の広域的な処理体制及び公共関与による産業廃棄物等の処理施設整備を促進するとともに、使用済自動車など廃棄物の不法投棄防止体制を強化し、その防止を図る。

 さらに、沖縄の島しょ性を踏まえて、雨水の有効利用を促進するとともに、離島と沖縄本島間の連携による処理困難物対策や廃棄物の輸送等静脈物流システムの構築に取り組む。

 ゼロエミッション・アイランド沖縄構想に基づき、豊富な自然資源を生かした自然エネルギーの活用、バイオマテリアル製造事業の導入、廃ビン等の循環資源を活用した企業化の促進、環境関連技術に関する研究開発の推進を図る。

 こうした取組等を通じて、沖縄を、環境共生、循環型社会のモデル地域として形成し、その成果を広く情報として発信する。

(2) 自然環境の保全・活用

 沖縄の豊かな自然を守り、適切な活用を図るため、自然保護施策の総合的推進、環境保全、公害の未然防止に取り組むとともに、環境教育等を推進する。

 このため、島しょ生態系にかなった土地利用を進めながら、森林を適切に保全管理し、新たな国立公園の指定を検討するとともに、自然環境保全地域、自然公園及び鳥獣保護区の適正な配置・管理及び活用を図る。また、希少な野生生物の保護管理など生物多様性の確保に努めるとともに、移入種対策を強化する。

 環境保全型自然体験活動の促進を図るため、同活動の実施に関する保全利用協定の活用を促進するとともに、指導者・ガイドの育成、情報提供体制の整備及び講習会の開催などの普及啓発等を推進する。

 また、県木であるリュウキュウマツを守るため、全県的な松くい虫防除対策を推進する。

 赤土等流出問題については、流域協議会を設置し、地域住民による流出防止への取組を促進するとともに、農地等の各種発生源対策の強化、赤土等の流出防止技術の研究・開発及び堆積土砂の除去等総合的な対策を推進する。

 サンゴ礁に甚大な影響を与えるオニヒトデの大発生については、早期段階から情報把握に努め、集中的な駆除を実施するなど、実効ある対策を講じる。

 地球温暖化防止対策やオゾン層の保護対策等を推進するとともに、水質汚濁や大気汚染等の防止に努める。また、低公害車の導入を促進する。さらに、米軍航空機騒音や基地排水等の監視測定を強化する。

 環境教育を充実し、県民、事業者、行政が一体となって環境問題に取り組む。また、自然体験型学習施設を整備するとともに、野生生物保護センター等を活用した自然体験活動を促進する。

(3) 生活環境基盤の整備

 上水道、下水道、公園・緑地、住宅等の生活環境基盤を整備し、快適で潤いのある豊かな生活環境や環境に優しい生活空間の創出を図る。

 ア 上水道の整備

 水需要の増加に対応した水資源の安定的な確保と併せて、導水・浄水・送水・配水施設等の整備を進めるとともに、高度浄水処理施設を整備し、より質の高い水の供給を図る。また、自家発電設備の整備や耐震化等災害に備えた整備を進めるとともに、老朽施設の改良を図る。
さらに、小規模水道事業の広域化を促進するほか、離島における海水淡水化施設及び海底送水管の整備を図る。

 イ 下水道等の整備

 快適な生活環境の確保と併せて、河川・海域等の水質保全を図り豊かな自然環境を保全するため、下水道、集落排水施設等汚水処理施設の整備を推進する。
このため、人口の増加、生活様式の変化、都市化の進展に伴う汚水量の増大にあわせた都市部における公共下水道の整備、優れた自然環境の保全等を図る特定環境保全公共下水道等の整備を促進するとともに、中部流域下水道、中城湾流域下水道、中城湾南部流域下水道の整備を進める。
また、整備にあたっては、良好な水環境の保全・再生に配慮し、下水処理水等の有効利用を図るとともに、合併処理浄化槽の普及と下水道等への接続を促進する。

 ウ 公園・緑地の整備

 レクリエーション需要を満たし、地域活性化を支援するとともに、災害時の避難場所ともなる公園・緑地の整備を図る。
このため、我が国唯一の熱帯・亜熱帯公園である国営沖縄記念公園海洋博覧会地区及び琉球の歴史・文化を伝える同首里城地区とその周辺地域の整備など、国内外のレクリエーション需要に応えるとともに、観光の拠点ともなる国営公園等の整備充実を図る。
中城公園の整備等、歴史・文化などを生かした観光・リゾート産業の振興に資するとともに県民の多様なニーズに対応した都市公園を整備する。
また、地域防災計画に基づく都市公園の適正配置や防災機能の付加、バリアフリーへの対応、市街地や観光地における良好な景観の形成を推進するとともに、快適なウォーターフロントを形成するための港湾緑地等の整備を推進する。さらに、地域の歴史的空間の計画的な緑化等の推進を図る。

 エ 住宅の整備

 住宅需要に対応した住宅の量の確保と併せて、居住水準の向上を図るほか、高齢者、障害者等の住生活に対応した多様な住宅の供給を促進する。
このため、公的資金を活用した民間住宅の建設を促進するとともに、公営住宅の供給を促進する。
また、高齢者向け優良賃貸住宅の供給や民間住宅のバリアフリー化を促進するとともに、沖縄の気候・風土を考慮した住宅の整備を促進する。
さらに、既成市街地における不良住宅密集地区の改善、老朽化した公共賃貸住宅の建替えと併せた総合的住環境の整備を促進するとともに、消費者への適切な住まいに関する情報提供体制の整備を進める。

(4) 都市・農山漁村の総合的整備

 地域に活力と利便を提供する都市の機能強化とともに、豊かな環境に恵まれ県民の憩いの場ともなる農山漁村の振興を図り、活力ある地域を形成する。また、都市・農山漁村の連携と機能分担を図るとともに、都市の整備においては、民間のノウハウや資金等を活用しつつ、地域の特性に応じた整備に努める。

 ア 市街地の効率的な整備

 地域や街を活性化するため、既成市街地における都市機能の更新、空洞化しつつある中心市街地の再構築、市街地内低・未利用地の活用を図る。また、駐留軍用地跡地と市街地との一体的な再開発を促進する。
このため、住民参加のもと、地域の創意工夫を生かす地区計画を積極的に定め、きめ細かなまちづくりに努めるとともに、土地区画整理事業や市街地の再開発等を推進し、道路、公園、宅地等を一体的に整備する。併せて、土地の有効高度利用、ハード、ソフト施策の連携による交通渋滞の緩和、電線類地中化、バリアフリーの推進等による歩行者空間の整備など良好な住環境整備に努め、中心市街地の活性化を図る。
同時に、無秩序に散在する墓地の集約化や緩衝緑地等の保全、整備による住宅地の環境改善など、魅力あるまちづくりを推進する。

 イ 民間主導による都市の再開発

 戦後、自然発生的に形成された既成市街地において、建築物の老朽化が進行し、更新の時期を迎えている。
これからの都市再生においては、民間のノウハウや資金等を活用し、新たな需要を喚起することが重要である。
このため、民間から提案される都市再開発に対しては迅速な対応、適切な誘導を行い、民間施行市街地再開発等の事業を積極的に支援するとともに、都市基盤施設を整備し、良好な市街地形成や土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の維持増進を図る。
モノレール駅周辺については、それぞれの地域の特性を生かした再開発を促進する。

 ウ 多面的機能を生かした農山漁村の振興

 農林水産業の生産活動の場であるとともに、生活の場である農山漁村について、豊かな自然環境の保全や景観の形成、伝統文化の継承等の多面的機能を生かし、都市住民にも開かれた快適で活力あるむらづくりを推進する。
このため、コミュニティ活動を促進し、地域活力の向上や伝統文化の継承を図るとともに、女性、高齢者等の活動を促進する。
地域の自然や景観と調和した集落道、集落排水施設、コミュニティ施設、公園などの生活環境基盤を計画的、総合的に整備し、地域の諸条件に応じた農山漁村空間の創造を促進する。また、高度情報化に対応するため、地域情報基盤を整備し、都市地域との情報格差の改善及び農林水産業の経営の多角化を推進する。
観光・リゾート産業と連携した地域の主体的な取組によるグリーンツーリズム、森林ツーリズム、ブルーツーリズムを促進するため、体験・滞在交流施設等の整備を図るとともに、コーディネーター、インストラクター等の人材育成、多様な活動メニューの開発及び情報の受発信等を促進する。
都市住民との交流による地域の活性化や就業機会の創出及び地産・地消による農林水産物の需要拡大を図るため、特産品の加工・開発及び直売所の整備など、農林水産物供給体制の確立に努める。

(5) 高度情報通信ネットワーク社会の実現

 豊かで暮らしやすい高度情報通信ネットワーク社会を実現するため、高速・大容量・低コストを実現する情報通信基盤の整備やそれらを利用しやすい環境の整備を進め、県民生活の利便性の向上、産業の振興、行政事務の効率化等を図るとともに、情報格差の解消に努める。

 ア 高度情報通信ネットワークの整備

光ファイバ網やCATV網等をはじめ、有線回線、衛星回線及び地上無線回線等の多様な情報通信基盤の整備を促進する。
住民が高度な情報通信サービスや公共サービスを受けられる環境の整備を図るため、高速・超高速ネットワークの整備や地域公共ネットワークの整備を促進するとともに、離島・へき地における情報格差の是正に向け、情報通信基盤の整備を促進する。
また、県と市町村等間を結ぶ沖縄県総合行政情報通信ネットワークの整備拡充を図るとともに、学校教育における情報化を推進するため、沖縄県総合教育情報ネットワークを整備拡充する。
さらに、技術やアプリケーションの急速な進展が見込まれる携帯電話等をはじめとする、次世代の先進技術を活用した情報通信基盤や施設の県内への先行的な整備を促進する。

 イ 地域情報化の促進

 島しょ性がもたらす時間的・空間的不利性を克服するとともに、住民生活の向上と地域の特色ある産業や文化の振興に資するため、地域の情報化を促進する。
このため、児童・生徒及び教員の情報リテラシーの向上に取り組むとともに、社会教育施設等における講習会の開催等を通して、住民が情報通信技術を利活用する機会の拡大に努める。
地域や圏域をネットワーク化する情報通信基盤の構築を促進し、地域の社会経済の活性化を図る。
また、離島地域における民間放送テレビ・ラジオの難視聴解消に努めるとともに、離島・へき地遠隔医療支援情報システムの充実を図る。
さらに、データ通信においても、距離による料金格差を解消するサービスの提供を促進する。

 ウ 電子自治体の構築

 行政事務の効率化及び住民サービスの向上を図るため、電子文書・電子決裁、電子投票の導入、調達、入札、申請・届出等のオンライン化等、県及び市町村の電子自治体構築、運営等を支援する。
また、国が保有する光ファイバ網を活用して、国・県間の行政情報の高度利用を図る。
さらに、ITを利用した教育研修システムの導入等、県と市町村を結ぶ行政情報通信基盤の多様な活用を促進するとともに、電子自治体の構築、運営等を担う人材育成を促進する。

(6) 災害に強い県土づくり

 島しょ性や県土の厳しい地形・気象条件のもと台風や集中豪雨、地震、津波等による自然災害から県民の生命と財産を守り、安全で快適な住みよい生活環境を確保する。

 このため、浸水対策としては河川改修及び下水道整備を連携して推進する。特に浸水被害が頻発している都市部における河川改修などを重点的に推進する。また、治水・利水をあわせた多目的ダムの整備のほか、砂防・地すべり・急傾斜地崩壊対策、治山対策及び高潮対策等を推進する。

 さらに、浸水被害及び土砂災害を軽減するため、災害情報の共有化と迅速な情報提供に資する防災情報システムを整備する。

 また、県土保全施設の整備に当たっては、景観や生態系など自然環境との調和に配慮する。特に、河川、海岸等の水辺は多様な動植物が生息・生育する貴重な場であるとともに、県民生活に安らぎと潤いを与える貴重な空間であることから、多自然型川づくりやエコ・コースト形成等を通じて自然環境との調和に努める。