第3章 振興施策の展開 6 多様な人材の育成と文化の振興

 人づくりは、百年の大計といわれる。21世紀の沖縄が、自立に向けて持続的に発展し、世界に開かれた交流拠点を形成していくためには、産業、福祉、医療、学術、文化等各分野を担う高度多様な人材の育成が不可欠であり、各分野における施策と併せて横断的な取組を展開する。

 また、潤いと生きがいのある生涯学習社会の形成や、豊かな感性を育む文化の振興に努める。

(1) 初等中等教育の充実

 生涯にわたる学習の基礎を培い、社会の様々な分野で活躍する創造的な人材を育成するためには、その基礎・基盤となる初等中等教育の役割が極めて重要である。

 また、国際化、情報化、科学技術の高度化、環境問題など、社会の変化に対応した教育を推進する。

 ア 学力向上対策等の推進

 子どもたちが、自ら学び、考え、行動できるよう「生きる力」を身に付けることを重視し、知・徳・体の調和のとれた豊かな人間性の育成を目指す。
このため、読み・書き・計算能力をはじめとする各教科の基礎的・基本的事項の確実な定着を図るとともに、外国人とも分け隔てなく接することのできるコミュニケーションの能力の育成、コンピュータ操作・活用能力の育成を図り、社会の変化に主体的に対応できる資質や能力を養う学力向上対策を推進する。
また、実践的な指導力向上のための教職員研修の充実に努めるとともに、総合的な学習の時間の充実及び小・中・高連携による進路指導の充実を図る。
心の教育については、ボランティア活動や自然体験活動などを通して、生命を尊重し、他人への思いやりがあり、正義感に満ちた幼児児童生徒の育成を図る。
また、スクールカウンセラーを配置し生徒へのカウンセリングや保護者の悩み相談、教師への指導、助言、相談等を実施し、心のケアを支援する。
たくましい体の育成については、基礎的な体力の向上及び健康的な生活を実践する力の育成に努める。また、運動部活動の活性化等スポーツ活動の充実を図るとともに、全国高等学校総合体育大会の開催及び競技力の向上を推進する。

 イ 国際化、情報化等に対応した教育の推進

 子どもたち一人一人が時代の進展に適切に対応できる能力を備え、個性にあふれ、国際性豊かな広い視野を持ち、環境を大切にし、環境の保全やよりよい環境の創造のため主体的に取り組む人材の育成に努める。
このため、小学校における英語活動の積極的導入等、語学力を備えた児童生徒の育成に努めるとともに、総合的かつ体験的な活動を重視した環境教育を推進する。
また、全ての生徒がコンピュータやインターネットの基本的な利活用等が可能となる情報活用能力を育成するとともに、IT教育センターを総合教育情報ネットワークの拠点として整備、活用し、国際性豊かな広い視野を持った多様な人材を育成する。
生徒の個性や創造性を一層伸ばすため、公私立学校における中高一貫教育の導入を促進し、6年間のゆとりのある時間の中で多彩なカリキュラムによる豊かな教育を実施する。
職業教育については、産業現場での就業体験学習の導入や産業技術教育センターにおける研修を拡充し、専門的な知識や技術の活用能力の向上に努める。
特殊教育については、早期からの適切な教育的対応や、幼児児童生徒の障害の状態及び特性等に応じた教育を推進し、社会参加や職業自立に向けた指導を充実強化する。

 ウ 魅力ある学校づくりの推進

 国際化、情報化などに柔軟に対応し、地域に開かれた特色ある学校づくりを進めるとともに、教育の基盤となる施設・設備の充実を図る。
このため、総合実業高校や総合工芸高校など魅力ある学校を設置するとともに、外国語による授業の導入、情報教育中心校の設置など、県立学校を編成整備するほか、それに対応した学校施設・設備を整備する。
また、老朽校舎の改築等学校の施設整備を進め、併せて環境を考慮した学校施設や校内LANの整備を進める。
学校評議員制度の活用など、開かれた学校づくりを進めるとともに、地域独自のニーズに基づき、地域が運営に参画するコミュニティ・スクール等新しいタイプの学校の設置を促進する。
私立学校については、学校教育における私立学校の役割も踏まえ、個性あふれる人材育成を促進するなど、特色ある学校づくりを促進する。
さらに、新たな教育ニーズであるフリースクール等については、適切な対応に努める。

(2) 高等教育の推進

 多様な社会的、時代的要請に的確に対応できる専門分野の人材育成を目指して、高等教育機関の整備充実に努め、教育・研究活動の積極的な展開を通じて、人材育成機能の充実強化を図る。あわせて、県内における大学進学機会の拡大に努める。

 このため、沖縄工業高等専門学校を設置し、情報通信システム工学、メディア情報工学、機械システム工学、生物資源工学分野における実践的技術者の育成を図るとともに、地域社会や産業界と連携して産業の振興に有為な人材の育成に努める。

 また、沖縄における高等教育の中心的役割を担う琉球大学においては、教育研究施設・設備の整備充実と併せて、理工系人材や法分野等の高度専門職業人の育成等時代のニーズに対応した学部、学科、大学院の教育研究体制の一層の充実を図り、地域の特色ある大学として整備する。

 県立芸術大学においては、沖縄の豊かな芸術文化の伝統を受け継ぎ、新しい創造的芸術文化の形成及び発展を担う人材を育成するとともに、デザイン工学分野等の学部設置を進める。

 また、県立看護大学においては、資質の高い看護職を育成するとともに、大学院等の設置を進める。

 私立大学においては、私学の自主性、独自性を踏まえ、個性あふれる人材の育成を目指した独自の学校運営を期待するとともに、高等教育を実践するにふさわしい施設・設備の整備及び教育研究体制の充実を期待する。特に、地域や時代のニーズに対応した学部・学科の新設、大学院の設置の促進を図る。

 さらに、私立専修学校等における実践的職業教育及び専門的技術教育を行うための、観光・リゾート関連や情報通信関連等の学科の充実、施設・設備の整備の促進に努める。

(3) 産業や地域社会を担う人づくり

 沖縄の持続的発展を図るため、産業や地域社会を担う人材の育成に取り組むとともに、アジア・太平洋地域との交流・協力を担う人材の育成に努める。

 このため、観光・リゾート産業分野においては、国内外から沖縄を訪れる観光客の多様なニーズに対応し、質の高いサービスを提供できる観光人材の育成を図る。

 情報通信関連産業分野においては、産学官が連携し、高度な専門知識と技術を身につけた多様な人材を早期かつ大量に育成するとともに、国内外から優秀な人材を招致する。

 新事業創出に向けては、起業家意識の高揚を図るとともに、高度な経営と技術に対応できる人材の育成・確保に努める。

 農林水産業については、新規就業者への支援をはじめ、経営感覚に優れ、高い技術力を備えた担い手を育成する。

 地域を支える産業の活性化に向けては、ものづくりの核となる技術・技能を持った人材や、企業経営に優れた産業人材の育成等に努める。

 科学技術を担う人材の育成・確保については、国内外を問わず広く研究者や学生の派遣・受入れや交流を積極的に推進するとともに、子どもが科学技術への関心を高めるための施設整備の促進等、科学技術と親しむ機会の提供に努める。

 また、幅広い分野における社会参加活動を促進するため、ボランティアやボランティアリーダー、NPO等の育成を進める。

 福祉・医療に対する需要の増大や多様化に対応した福祉人材の養成や研修の充実を図るとともに、医師・看護師等保健医療従事者の養成・確保に努め、研修事業を推進し、保健医療従事者の資質や医療水準の向上を図る。

 さらに、県内大学、高等専門学校、専修学校、高等学校及び職業能力開発機関など、様々な教育機会の提供を通した人材の育成に努める。

 あわせて、海外からの技術者招聘や国際化対応のための海外派遣など、人材交流を積極的に推進する。また、国際的な知見と行動力を備え、激しく変動する社会経済情勢に対応しうる人材の育成・確保を図るため、国際交流・人材育成財団の充実強化を図る。

(4) 潤いと生きがいのある生涯学習社会の形成

 県民が、21世紀に生きるためのパスポートといわれている生涯学習に取り組み、いつでもどこでも学ぶことができるよう、生涯学習の推進体制を整備するとともに、学習機会の提供や学習相談体制等の整備を図る。

 このため、多様化、高度化する地域住民の学習ニーズや生活圏の拡大に伴う学習活動の広域化に対応し、市町村の行政区域を越えた広域的な学習支援体制を整備するなど生涯学習社会の形成に努める。

 また、生涯学習推進センターを整備し、多様な学習機会や情報提供に努めるとともに、リカレント教育や学校開放講座等を推進する。

 図書館、公民館等の社会教育施設の整備や指導者の養成など社会教育基盤を整備充実するとともに、市町村における家庭教育支援のネットワークを強化し、地域や家庭における教育活動の活性化を図る。

(5) スポーツの振興と青少年の健全育成

 県民のだれもが、それぞれの体力や年齢等に応じて、いつでも、どこでもスポーツに親しむことができ、心身ともに健康でいきいきとした生活を送ることができるような生涯スポーツ社会の実現を図る。また、競技スポーツの振興を図る。

 このため、生涯スポーツについては、県民が身近な地域において気軽にスポーツに親しむことができる環境の整備、スポーツ活動活性化のための支援、社会体育指導者の養成・確保及び資質の向上を図る。

 競技スポーツについては、トップアスリートの育成強化を図り競技力向上を推進するとともに、体育・スポーツ団体等の育成強化及び指導者の養成・確保に努める。また、プロスポーツ等トップレベルのスポーツイベントの誘致を促進する。

 県民の健康・体力の保持増進とスポーツの振興及び全国高等学校総合体育大会などの各種大会の開催に向け、社会体育施設の整備充実を図る。

 また、沖縄が生んだ空手・古武道が世界の武道としてますます発展するよう、ネットワークづくり等を進め、その普及・発展を図る。

 家庭、学校、地域が相互に連携し、豊かな心を持ち、夢・実行力のある青少年を育成するための環境づくりを推進する。

 このため、子育てに関する学習機会や情報の提供等による家庭教育機能の強化と支援、ボランティア活動の活発化等社会教育の充実を図る。

 また、完全学校週5日制に対応するため、地域での文化・スポーツ活動、生活・自然体験活動等を支援し、その充実に努める。

 青少年の国内外での交流を推進するとともに、少年の非行防止及び被害少年の保護・支援活動、青少年の健全育成に資する環境づくり等を推進する。

(6) 豊かな感性を育む文化の振興

 県民のゆとりと豊かさのある生活の実現を目指し、余暇時間の増大や、県民の文化への志向に対応するため、文化の振興、文化財の保護活用等の施策の充実を図る。

 ア 芸術・文化の振興

 豊かな感性と創造性を育む文化を振興するとともに、沖縄文化を世界に発信する。また、誇りある独特の伝統文化を保存及び活用するとともに、多様な文化活動を支える施設や催し、優れた芸術文化等の鑑賞機会の充実を図る。
このため、県芸術祭の充実や伝統芸能の継承、発展など県民文化の振興や、郷土芸能に関する文化施設の整備充実を図るとともに、バイタリティあふれる多様な音楽等沖縄文化の世界への発信に取り組む。
また、次代を担う児童生徒の芸術鑑賞機会の拡充や、総合文化祭及び国際交流などの文化活動を推進する。
さらに、県立博物館新館及び県立美術館の整備を図る。

 イ 文化財の保護と活用

 沖縄の地理的特性や歴史の過程を経て醸成された沖縄の文化遺産は、県民の財産であり、大切に保存、管理、活用するとともに、県民の文化財愛護の意識の高揚を図る。
このため、重要な文化財の指定及び保護を促進し、史跡等の整備、保存、活用を推進するとともに、伝統芸能や工芸技術、民俗文化財等の保存伝承と活用を図る。
特に、世界遺産の「琉球王国のグスク及び関連遺産群」については、適切な保存を図るとともに、観光資源としての活用に向けた周辺環境の整備充実を図る。また、文化財の公開及び普及啓発に努めるほか、新沖縄県史や歴代宝案の編集活動を推進し、今後の歴史研究に役立てるとともに、学校等における歴史的教材資料として活用する。
国立劇場おきなわを整備し、「組踊」を中心とする沖縄の伝統芸能の公開、伝承者養成等を行ない、その保存・振興を図る。
公共・民間の開発事業や駐留軍用地跡地の利用に伴う埋蔵文化財に関する調査、戦災等によって失われた文化財の復元・整備、海外に流出した文化財の調査及び返還等を推進する。
また、埋蔵文化財センターの体制を強化し、埋蔵文化財の発掘調査を推進するとともに、文化財保護思想の普及啓発に努める。