第4章 圏域別振興の方向 2 中部圏域

【現状と課題】

 本地域は全域が都市計画区域に指定されているが、中央部の比較的平坦な土地を嘉手納飛行場や普天間飛行場等の広大な米軍施設・区域が占め、土地利用上大きな制約となっている。
戦後は米軍施設・区域が集中的に立地し、長い米軍統治期間に特色ある文化を育み、国際色豊かな地域が形成されてきた。
本土復帰後、沖縄振興開発計画に基づき各種事業が実施される中で、本地域においても、沖縄自動車道をはじめとする広域道路や中城湾港開発及び市町村における新市街地等の整備が進展してきているほか、琉球大学の移転及び沖縄コンベンションセンターの設置等、学園都市機能が整備されつつある。
今後は地域の創意工夫により、恵まれた立地条件、特色ある歴史・文化などの地域特性を生かした安らぎと潤いのある地域づくりを促進するとともに、産業を振興し、豊富な若年労働者に対する雇用機会の創出を図り、地域の活性化に努める必要がある。

【振興の基本方向】

 本地域においては、普天間飛行場等駐留軍用地跡地の再開発を契機として、都市機能の再編・整備を行い、那覇市から石川市間において、活力と潤いのある連たんした都市圏形成を推進する。
与勝半島から具志川市、石川市など、金武湾に面した東海岸地域では、研究開発、交流体験等を含め、健康長寿をテーマとした地域の振興を図る。
具志川市から沖縄市にかけての東海岸地域においては、中核的な都市として、広域商業、文化、交通結節等の高次都市機能の整備を進める。また、中城湾港新港地区では、特別自由貿易地域を中心に加工交易型産業等の集積を図り、泡瀬地区では国際交流リゾート拠点等の形成を推進する。
宜野湾市から読谷村にかけての西海岸地域においては、コンベンション支援機能及び都市型リゾート施設等の整備を促進し、観光・リゾート産業の振興を図るとともに、沖縄西海岸道路等の整備により交通アクセスの利便性を高める。
北中城村から中城村、西原町にいたる地域においては、歴史・文化の体験や県民行楽の場としての整備を図るとともに、良好な居住環境を充実強化する。また、陸上交通の円滑化を図るため、本島東西間を結ぶ道路等の整備を推進する。
広大な米軍施設・区域については、引き続き整理・縮小に取り組むとともに、それぞれの地域特性を生かした駐留軍用地跡地の有効利用を促進する。

(1) 産業の振興

 ア 観光・リゾート産業の振興

 宜野湾市から読谷村に至る西海岸地域においては、沖縄コンベンションセンターを中心に、マリーナ、人工海浜、リゾートホテル等が整備されており、これらの施設を連携させるとともに、宿泊施設等のコンベンション支援機能及び都市型リゾート施設を拡充強化し、人と情報の交流ゾーンの形成を推進する。
沖縄観光の魅力を高めるため、観光振興地域において、沖縄型特定免税店の空港外展開とあわせて、国際ショッピングモール構想の推進を図る。
東海岸の中城湾港泡瀬地区においては、東部海浜開発を促進し海洋性レクリエーション機能を導入することにより、海に開かれた国際交流リゾート拠点等を形成する。
また、与勝半島、具志川市、石川市など、金武湾に面した地域は、一体的な地域として、健康長寿をテーマとした体験・滞在型観光を促進する。
さらに、世界遺産の中城城跡、勝連城跡、座喜味城跡の遺産群等については、文化交流型観光への取組の一環として、歴史的景観の保全、これと調和した周辺整備及び観光ルート化等を促進し、琉球歴史回廊の形成を図る。また、国際色豊かなおきなわマラソン、中部トリムマラソン、ピースフルラブ・ロックフェスティバル等の各種イベントやレクリエーション活動を促進するとともに、エイサー等の伝統芸能や、異文化と融合して生まれたオキナワンミュージック等を活用した観光振興の取組を促進する。

 イ 情報通信関連産業の振興

 高速・大容量・低コストを実現する情報通信基盤の整備を促進するとともに、情報通信産業振興地域制度等を積極的に活用しつつ、通信コストの低減化支援やインキュベート施設等の整備促進などにより企業立地を促進し、情報通信関連産業の集積を図る。
このため、嘉手納町マルチメディアセンター、美浜メディア・ステーション等の情報通信関連産業支援施設を中心に、企業の立地を促進するとともに、地域の特色ある歴史・文化を生かして、コンピュータ・グラフィックスや芸能関連を中心としたコンテンツ制作の拠点形成を図る。

 ウ 加工交易型産業等の振興

 中城湾港新港地区においては、特別自由貿易地域制度を活用して魅力ある投資環境を整備するなど戦略的な取組により企業立地を促進し、沖縄における加工交易型産業の拠点形成を図る。
また、特別自由貿易地域において、管理運営法人が実施する立地企業のための事業場の設置や創・操業支援など特別自由貿易地域活性化事業を促進するとともに、今後の特別自由貿易地域の活用状況等を踏まえ、初期投資の負担を軽減する賃貸工場の整備や、土地の賃貸方式の導入及び助成制度の充実に取り組む。
さらに、産業高度化地域において、製造業等を行う企業及び産業高度化事業を行う企業の立地を促進し、相互の有機的な連携により、製造業等の高度化を図る。
あわせて、中城湾港新港地区の工業技術センター、トロピカルテクノセンター及び健康バイオ研究開発拠点施設等を中心に、産学官の有機的な連携のもと健康関連産業、食品・飲料関連産業、バイオ関連産業等の産業分野における企業化や新規事業の創出を促進する。

 エ 農林水産業の振興

 農業用水の確保など生産基盤の整備を推進し、キク、甘しょ等重点的に推進する品目については、拠点産地を形成するとともに、さとうきび、養豚等の生産体制の強化及び畜産環境対策を推進する。
生活環境保全のための森林整備を推進するとともに、漁港・漁場等の生産基盤の整備、モズク等養殖業の生産流通体制の強化を図る。

(2) 普天間飛行場等駐留軍用地跡地の利用促進

 SACO最終報告等に示された返還予定施設である普天間飛行場、キャンプ瑞慶覧、キャンプ桑江、読谷補助飛行場等の跡地利用を促進する。
普天間飛行場については、約480haという広大な面積を有し、人口の集中する中南部の中央に位置するとともに、周辺都市地域と近接していることから、その開発が沖縄の振興に与える影響は大きい。
このため、跡地利用に当たっては、中南部都市圏における位置づけや、周辺市街地整備などに留意し、沖縄の振興をリードする高次都市機能の導入や基幹道路の整備等、総合的かつ計画的に進める。
また、都市的利用が想定されるキャンプ桑江、キャンプ瑞慶覧等の駐留軍用地跡地については、良好な住宅地や生活関連施設、行政サービス施設等の整備を進め、併せて地域商業の活性化を図り、職住近接のまちづくりを進める。
さらに、読谷補助飛行場、楚辺通信所及び瀬名波通信施設の駐留軍用地跡地については、公共施設整備や集落整備を含めた総合的な整備を促進し、個性豊かな田園空間の形成を図る。

(3) 産業振興のための基盤整備

 産業全体の活性化につながる人の交流、物流の効率化の観点から、港湾、道路等の交通体系を総合的に改善・整備する。
このため、中城湾港新港地区において、流通加工港湾の整備を推進するとともに、中城湾港泡瀬地区において東部海浜開発を促進する。また、中城湾港マリンタウンプロジェクト(西原・与那原地区)や、宜野湾港の公共マリーナの整備を推進する。
陸上交通の円滑化を図るため、沖縄西海岸道路をはじめ、一般国道329号、具志川沖縄線、沖縄環状線、本島東西間を結ぶ道路等の整備を推進する。
また、一体的都市軸の形成を促進するため、公共交通ネットワークの拡充・強化等交通システムの検討を行う。

(4) 都市機能の再編・再整備

 沖縄市、具志川市、嘉手納町等においては、戦後、自然発生的に市街地が形成されたため、都市基盤が未整備のまま過密現象が生じ、都市機能の低下がみられるとともに、周辺市街地の拡大等に伴う大型店舗の立地等により、都市型の商業・業務の集積地としての機能が弱まりつつある。
このため、広域的な視点に立った都市機能の再編・再整備を行うとともに、中心市街地の再開発や土地区画整理を促進し、都市機能を強化する。
また、西原町等においては、琉球大学等高等教育機関周辺の整備を促進し、学園都市機能の充実強化を図る。
さらに、緑化等による潤いのある空間の創出に努め、魅力ある景観形成を図る。

(5) 生活環境基盤等の整備

 多様化する廃棄物問題に対処するため、廃棄物の減量化、リサイクル及び広域的な廃棄物処理体制の整備を促進する。
また、増大する都市の水需要に対応するため、新石川浄水場等の水道基盤を整備する。
さらに都市地域の人口の増加、市街地の拡大に伴う汚水量の増大に対処するため、引き続き下水道の整備を推進する。
都市化の進展にともない雨水の流出が増大し、浸水被害が多発している比謝川等の流域において総合的な雨水対策を推進する。
具志川市等の不良住宅密集地区において、総合的な住環境の整備を推進する。
看護師等の安定確保を図るため、民間養成所の整備を促進する。