第4章 圏域別振興の方向 3 南部圏域

【現状と課題】

 本地域は、那覇市とその周辺市町村の一部を含めた都市地域、都市近郊地域、農村地域、さらに那覇を中心として結ばれる慶良間諸島、久米島、渡名喜島、粟国島、南・北大東島からなり、多様な地域性を有している。
本土復帰後、沖縄自動車道をはじめとした広域道路、沖縄都市モノレール等交通基盤の整備が進展しているほか、那覇新都心地区の開発事業や各市町村の市街地等の整備により都市機能の整備が進められてきた。
今後は、国際ハブ機能の形成を目指す那覇空港の整備、ハブ機能を有する国際流通港湾化に向けた那覇港の整備、及びこれらへのアクセス道路の整備を推進し、情報通信基盤の整備等を促進するとともに、戦後の無秩序な市街地の形成により過密化が進んだ既成市街地の整備を推進し、人口の集中から生じる交通混雑や環境問題等さまざまな都市問題に対処する必要がある。
農村及び離島地域においては、都市地域との交流、連携を促進し、都市機能の享受を可能にするとともに、豊かな自然を生かした快適な居住環境を整備し、地域特性を生かした活力ある地域づくりを推進する。

【振興の基本方向】

 那覇市を中心とする都市地域においては、都市の利便性とアメニティに満ちたゆとりある生活空間を併せて享受できるように都市機能の再編・再整備を推進する。
浦添市から那覇市に至る西海岸においては、空港、港湾等の整備により国際物流拠点の形成を図るとともに、その後背地と一体となった都市の整備を進める。
特に、那覇港湾施設の移設が予定される浦添市については、港湾の展開整備と一体となった地域の振興を図る。
豊見城市から糸満市にかけては、臨空港型産業や製造業、情報通信関連産業等の誘致・集積を図るとともに、園芸農作物の拠点産地の形成や水産業の振興を図る。
与那原町から知念半島に至る東海岸地域においては、農林水産業の振興を図るとともに、健康・保養や歴史散策等を中心とした観光を推進する。
南風原町、東風平町、大里村、具志頭村のような都市近郊地域においては、都市近郊型農業等を振興するとともに、良好な住宅市街地の形成に向けた整備を進める。
離島地域においては、健康・保養や歴史・文化等をテーマとした体験・滞在型観光を推進するとともに、農林水産業の拠点産地化を促進する。

(1) 都市機能の再編・再整備

 那覇市を中心とする都市地域においては、人口や諸機能の集中による交通混雑の解消や住宅・住環境の整備が課題となっている。
このため、沖縄都市モノレール駅周辺の再開発や既成市街地の再編・再整備、那覇新都心地区への情報通信関連産業等の集積を図る。また、国際通り活性化事業の推進、市街地開発事業と併せたマチグァーの再生等によりアメニティに満ちたゆとりある生活空間の創造を促進する。
急速な市街地の拡大が進む那覇市周辺地域については、地域商業拠点としての機能を併せ持つ良好な住宅市街地の形成を図る。
浸水被害が多発している安里川及び国場川等の流域において総合的な雨水対策を推進する。
那覇港湾施設の駐留軍用地跡地については、那覇空港、那覇港と隣接した特性を生かし、国際交流拠点にふさわしい交流空間の形成を目指す。

(2) 産業の振興

 ア 観光・リゾート産業の振興

 西海岸地域においては、空港、港湾等の施設と連携したショッピング施設や海洋レクリエーション施設等を整備し、コースタルリゾートの形成を図る。
東海岸地域においては、海洋レジャー施設等の整備による海洋性レクリエーション基地の形成を図る。また、健康食品等地域特産品の開発を促進するとともに、健康・保養をテーマとした観光振興を図る。
国営沖縄記念公園首里城地区及び県営首里城公園の整備充実を図るとともに、識名園、玉陵等の琉球王国のグスク関連遺産群とその周辺地域の整備を促進する。
また、園比屋武御嶽を起点として玉城グスクに至る「東御廻い」の史跡や景勝地を経由する沖縄のみち自転車道を整備し、歴史的遺産群を結ぶ観光ルートの整備を促進するなど、琉球歴史回廊の形成を図る。
さらに、沖縄戦跡国定公園を中心とした平和学習拠点の形成を図る。
ラムサール条約に登録された漫湖については、都市における環境教育や自然観察の拠点地域としてその整備を図る。
離島地域においては、豊かな自然環境を生かしたグリーンツーリズム、ブルーツーリズム等の体験・滞在型観光を促進するため、宿泊施設やレクリエーション施設の整備など受入体制の強化を促進するとともに、多様化する観光ニーズに対応する各種イベント、観光プログラム等の開発により観光の通年化、長期化を図る。

 イ 情報通信関連産業の振興

 情報通信関連の中核的な施設・設備の整備が比較的進んでいる南部地域においては、情報通信産業振興地域制度等を積極的に活用しつつ、通信コストの低減化支援やインキュベート施設等の整備促進などにより、情報サービス、コンテンツ制作、ソフトウェア開発等の企業立地を促進し、情報通信関連産業の集積を図る。

 ウ 物流・製造業の振興

 浦添市から糸満市に至る西海岸地域については、那覇空港や那覇港に隣接する利点を生かし、倉庫・運輸及び空港支援サービス等、空港・港湾活用型産業の集積に努める。
また、豊見城市地先埋立地への臨空港型産業等の導入を促進するとともに、糸満工業団地等への県内製造業の移転再配置等を促進する。
さらに、那覇港湾背後地への港湾関連企業の導入等により物流機能の向上を図る。

 エ 農林水産業の振興

 地下ダム貯留水の水質保全に留意するとともに、都市排水の循環利用等、多様な農業用水の開発など、生産基盤の整備を推進する。
さやいんげん、ゴーヤー、マンゴー・パパイヤ等の熱帯果樹等重点的に推進する品目については、拠点産地を形成するとともに、さとうきび等については、農業生産法人、作業受託組織の育成、農地の流動化等による生産体制の強化を図る。
また、本地域は、沖縄の主要な経済圏に位置する特性を生かし、都市近郊型農業を促進する。天敵を利用した減農薬栽培等の拡大を通じ、消費者に安全・安心をアピールできる生産・供給体制の整備を図る。
養豚等の畜産については、家畜排せつ物処理施設の整備、耕畜連携等による資源循環型農業を推進し、河川の水質保全等を図る。
荒廃原野における緑化を推進するとともに、周辺離島における水源かん養、潮害防備のための森林を整備する。漁港施設、増養殖場の整備を推進するとともに、水産物流通拠点である糸満等において流通・加工機能の充実を図る。
地域の特色ある歴史的・自然的な農山漁村景観等の保全整備を通じて、都市と農村の交流による快適で活力ある農山漁村を形成する。

(3) 総合的な交通基盤の整備

 那覇空港については、沖合いへの空港施設の展開等について検討を行い、必要な整備を図るとともに、旧国内線ターミナル地区の利用について検討を行い、必要な整備を図る。また、貨物ターミナル等狭あい化が進みつつある地区について、所要の施設の整備拡充を図る。
那覇港については、沖縄の地理的条件に起因する輸送コストの問題を克服するとともに、戦略的な中継コンテナ貨物の取扱を促進するため、貨物の増大・集積に迅速かつ効果的に対応できる大規模コンテナターミナル等の整備を推進する。あわせて、国際航路ネットワークの拡充に向けて、港湾利用コストの低減化、効率的なターミナル運営を目指す。また、幹線道路や那覇空港と結ぶ臨港道路を整備する。さらに、大型クルーズ旅客船バースやマリーナ等国際交流拠点にふさわしい施設整備を推進する。
また、空港や港湾等の拠点間の連携を強化するため、那覇空港自動車道や、沖縄西海岸道路等の広域道路の整備を促進する。
さらに、バス、モノレール等交通機関相互の適切な連携による利便性の向上を図るとともに、都市における交通渋滞の緩和を図るため、沖縄自動車道と沖縄都市モノレールとの効果的結接や那覇市と南部各地域との連携強化及び各地域間の交流を促進する道路網の整備を進める。
また、離島においては、空港、港湾及び道路等の整備、航空路線網及び海上航路網の維持・確保等により、交通ネットワークの形成を図り、生活の利便性の確保に努める。

(4) 国際交流等の推進

 JICA沖縄国際センターとの連携を充実強化し、研修員等と県民との交流を盛んにするなど国際交流を推進する。
豊かで個性ある地域づくりや産業振興を担う人材の育成を図る。また、県立芸術大学においてデザイン工学分野等の学部設置を進める。

(5) 生活環境基盤等の整備

 人口の集中する南部圏域においては、高度医療、救命救急医療、母子総合医療等、高度化、多様化する保健医療のニーズに対応できる県立高度・多機能病院(仮称)の整備を推進する。
多様化する廃棄物問題に対処するため、廃棄物の減量化、リサイクルの推進、広域的な廃棄物処理体制の整備とともに、環境関連ビジネスの企業化の促進、資源の域内循環の推進など、ゼロエミッションを積極的に展開する。
都市地域の人口増加、市街地の拡大に伴う汚水量の増大に対処するため、引き続き下水道の整備を推進するとともに、下水処理水の有効利用を図る。
また、生活排水や畜舎排水等による河川水質の悪化に対処するため、河川の上流から下流にいたる流域市町村の広域的・総合的な河川浄化対策を促進し、河川の浄化を図る。
離島地域においては、地域における定住環境を整備し、快適で潤いのある豊かな生活環境を創出する必要がある。
このため、保健医療及び福祉においては、関連施設の整備や従事者の養成・確保や地域福祉の基盤整備、救急医療体制の充実強化等を図る。
廃棄物対策については、廃棄物の減量化、リサイクルの促進や、使用済自動車等の不法投棄防止対策を強化するとともに、廃棄物処理施設の整備を促進する。
また、水の安定供給を図るため、多目的ダムの建設及び海水淡水化施設の整備を推進する。
さらに、下水処理については、特定環境保全公共下水道、集落排水施設の整備を進めるとともに、合併処理浄化槽の普及を促進し、河川、海域の汚染防止に努める。
離島における教育の充実を図るため、本島への学生寮の設置を促進する。