第4章 圏域別振興の方向 5 八重山圏域

【現状と課題】

 本地域は、大小32の島々からなる島しょ地域であり、個々の島々が貴重な野生動植物を含む優れた自然環境を有しているほか、古来より「詩の国、歌の島、踊りの里」と呼ばれ、多種多様な民俗芸能が伝承されるなど、独特の歴史的・文化的環境を有する多様性に富んだ地域である。
また、古くから、台湾や中国大陸との交流が盛んな地域であり、他の圏域には見られない独自の地域間交流の蓄積がある。 本圏域の課題としては、進学や就職を機会とした若年層の流出、離島地域での高齢化の進行等がある。また、環境面では赤土等の流出防止対策が急務である。

【振興の基本方向】

 我が国の最南西端に位置する地理的条件と貴重な野生動植物を含む豊かで多様性に富んだ自然環境、歴史的・文化的特性を生かした観光・リゾート産業の振興を図る。
このため、各種伝統行事や文化財等の保存・保護を図りつつ、観光資源としての利活用に努めるとともに、新たな観光資源の開発を進める。
圏域外及び国外との交流ネットワークを形成するとともに、島々の自然環境を保全しつつ、各種産業の振興による雇用の創出、生活環境の改善等の定住条件の整備を図る。

(1) 産業の振興

 ア 観光・リゾート産業の振興

 石垣島を中心とした国際的な観光・リゾート地の形成を図るため、本土との航空路線の拡充、海外との航空路線の開設、国内外の大型クルーズ客船の就航などを促進し、アクセス条件の改善を図るほか、石垣港については、離島ターミナルの再編等、観光・リゾート拠点としての整備を促進する。周辺離島間海上航路網の拡充を図るとともに、共通乗車船券の活用による周遊ルートの多様化を図り、個性あふれる島々の魅力を生かした観光を促進する。
また、イリオモテヤマネコ等の天然記念物が生息する亜熱帯自然林、マングローブ等が密集する河口域や我が国最大のサンゴ礁域を活用したエコツーリズム、グリーンツーリズム、ブルーツーリズム等の体験・滞在型観光を促進する。
観光振興に当たっては、恵まれた自然環境の保全が重要であり、そのための取組を強化する。西表国立公園に属する石西礁湖ゾーンをはじめとしたサンゴ礁を保全するとともに、観光資源としての活用を図る。また、国際サンゴ礁研究モニタリングセンターとの連携を図る。
さらに、竹富島の伝統的建造物群保存地区等における歴史風土に育まれた集落景観をはじめ、民俗芸能や文化遺産等、島々のもつ魅力を生かすとともに、「石垣島トライアスロン大会」や「大海洋祭マンタピア」等各種イベントの充実を図る。
与那国島においては、海底観光資源等の特異な観光資源を十分に生かすため、観光・リゾート施設の整備を促進する。また、東南アジア等に近い同圏域の地理的特性を生かし、国境を接する台湾との交流を促進する。

 イ 農林水産業の振興

 農業用水の確保など生産基盤の整備を推進し、マンゴー等の熱帯果樹やかぼちゃ、肉用牛等重点的に推進する品目については、拠点産地を形成するとともに、畜産環境対策等を推進する。
さとうきび等土地利用型作物は、農地の利用集積、生産の合理化、品質向上等に努め、生産体制の強化を促進する。
また、森林の持つ公益的機能の維持増進を促進するとともに、森林ツーリズム等と関連づけた、新たな林業の振興を図る。
近海魚介類の資源管理及び養殖魚介類の生産拡大を図るとともに、漁港・漁場等の生産基盤を整備し、生産体制等を強化する

 ウ 商工業の振興と中心市街地の活性化

 シャコ貝、ソデイカなどの水産物やパッションフルーツなどの熱帯果実を活用した新たな特産加工品の開発を進めるとともに、八重山上布やミンサー織などの伝統工芸産業の継承発展を図る。
また、快適な商業環境を創出するため、中心市街地の整備改善及び活性化を促進する。

(2) 総合的な交通基盤等の整備

 県内外や都市部との連携を強化し、人、物、情報等の交流の活発化を促進するため、新石垣空港、与那国空港及び石垣港、祖納港や広域交通拠点へのアクセス道路、地域振興を支援する道路網等の総合的な交通基盤の整備を図る。

(3) 保健医療・福祉関連基盤の整備

 保健医療及び福祉関連施設の整備を推進するとともに、保健医療及び福祉従事者の養成・確保や地域福祉の基盤整備、救急医療体制の充実強化等を図る。

(4) 職業能力開発機会の確保

 本地域においては、公的な職業訓練の機会が乏しいことから、地域の人材ニーズに応じ、民間の教育機関等に職業訓練を委託するなど、職業能力開発機会の確保を図る。

(5) 産業・生活環境基盤の整備

 水の安定供給を図るため、新たな水資源の開発、老朽施設の改良を進めるとともに、水道事業の広域化等により水道事業の経営基盤の強化を促進する。
また、環境を保全しつつ、産業の振興を図るため、流域協議会の活動を促進し、総合的な赤土等流出防止対策を推進するとともに、公共下水道、集落排水施設等の整備・普及を進める。
循環型社会を構築するため、廃棄物の減量化、リサイクルや適正処理を促進するとともに、新エネルギーの導入促進や自然エネルギー供給モデル地区の形成を図る。
さらに、情報通信基盤の高度化及び拡充を図るとともに、産業、教育、医療、福祉等各分野における情報化を促進するほか、情報通信産業振興地域制度を活用し、圏域の自然を生かしたSOHOの導入を促進する。