防災・減災、国土強靭化に向けた道路の5か年対策プログラム

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令和3年4月
沖縄総合事務局

1.プログラムについて

  近年、気候変動の影響により気象災害が激甚化・頻発化し、大規模地震の発生も切迫している。また、高度成長期以降に集中的に整備された多くのインフラの老朽化が見込まれることから、それらの維持管理・更新を確実に実施する必要があるが、適切に対応しなければ、中長期的なトータルコストの増大を招くのみならず、我が国の行政・社会経済システムが機能不全に陥る懸念がある。
  こうした状況を踏まえ、政府は防災・減災、国土強靱化の取組の更なる加速化・深化を図るため、令和3年度から令和7年度までの5年間で、追加的に必要となる事業規模を政府全体でおおむね15 兆円程度を目途として、重点的かつ集中的に講ずる対策を定めた「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」(以降、「5か年加速化対策」)を令和2年12月11日に閣議決定した。
  道路事業においては、「5か年加速化対策」に位置づけられた目標や事業規模等を踏まえ、各都道府県における5か年の具体的な事業進捗見込み等を示し、計画的な事業執行に取り組むとともに、周辺の開発事業等との連携を図りながら、対策の効果をより一層高めることを目的として、本プログラムを策定するものである。

2.対策概要

  令和2年10月には、社会資本整備審議会道路分科会沖縄地方小委員会の意見を踏まえ、高規格道路※と直轄国道を組み合わせた災害に強い国土幹線道路ネットワークを選定するとともに、防災上の課題箇所を把握したところである。
※高規格幹線道路、地域高規格道路(計画路線)、その他計画段階評価等の調査が進捗している路線等をベースに選定
  そのため、災害に強い国土幹線道路ネットワークにおける「5か年加速化対策」に位置付けられた下記の道路分野の対策を中心に、防災・減災、国土強靱化の取り組みを重点的かつ集中的に実施する。

①高規格道路のミッシングリンク解消及び4車線化、高規格道路と直轄国道とのダブルネットワーク化等による道路ネットワークの機能強化対策
  近年、激甚化・頻発化する災害から速やかに復旧・復興するためには、道路ネットワークの機能強化が必要不可欠である。発災後概ね1日以内に緊急車両の通行を確保し、概ね1週間以内に一般車両の通行を確保することを目標として、災害に強い国土幹線道路ネットワークの機能を確保するため、高規格道路のミッシングリンクの解消及び暫定2車線区間の4車線化、高規格道路と代替機能を発揮する直轄国道とのダブルネットワークの強化等を推進する。

②道路施設の老朽化対策
  今後、急速に進展する道路施設の老朽化に対し、ライフサイクルコストの低減や持続可能な維持管理を実現する予防保全による道路メンテナンスへ早期に移行するため、定期点検等により確認された修繕が必要な道路施設(橋梁、トンネル、道路附属物、舗装等)の対策を推進する。

③道路の高架区間等を活用した津波や洪水からの浸水避難対策
  切迫している南海トラフ地震や激甚化する豪雨災害などに備え、津波や洪水からの緊急避難場所を確保するため、地方公共団体のニーズを踏まえ、予測浸水深よりも高い位置に整備されている直轄国道の高架区間等を緊急避難場所として活用するための避難施設(避難階段等)の整備を推進する。

④道路の法面・盛土の土砂災害防止対策
  令和2年7月豪雨をはじめとする近年の豪雨では、道路区域内だけでなく道路区域外からも土砂崩落が発生し、高速道路及び直轄国道等の幹線道路に長時間にわたる通行止めが生じるなど道路交通に支障を及ぼす事態が発生した。道路の法面や盛土において、レーザープロファイラ調査等の高度化された点検手法等により新たに把握された災害リスク等に対し、豪雨による土砂災害等の発生を防止するため、法面・盛土対策を推進する。

⑤市街地等の緊急輸送道路における無電柱化対策
  令和元年房総半島台風では、既往最大風速を更新する局地的な強風等により約2,000 本の電柱が倒壊し、道路閉塞に伴う通行止め等により復旧活動に支障が生じた。電柱倒壊による道路閉塞のリスクがある市街地等の緊急輸送道路において、道路閉塞等の被害を防止するため無電柱化を推進する。

⑥IT を活用した道路管理体制の強化対策
  災害発生時や復旧段階において、道路状況を速やかに把握した上で円滑な交通を確保することは、人命救助、復旧・復興、社会経済活動において必要不可欠である。遠隔からの道路の異常の早期発見、維持管理作業等の自動化・無人化、過積載等の違反車両の取り締まりを行う体制の強化やAI 技術等の活用による立ち往生車両の自動検知システムの導入など、維持管理の効率化・省力化を推進する。

3.対策実施箇所

①災害に強い国土幹線道路ネットワークの機能強化対策    【別添 図1】
②道路施設の老朽化対策                  【別添 図2】
③道路の高架区間等を活用した津波や洪水からの浸水避難対策 【別添 図3】
④道路の法面・盛土の土砂災害防止対策           【別添 図4】
⑤市街地等の緊急輸送道路における無電柱化対策       【別添 図5】
⑥ITを活用した道路管理体制の強化対策             【別添 図6】

4.その他

  「5か年加速化対策」において示された事業規模は、今後の災害の発生状況や事業の進捗状況、経済情勢・財政事情等を踏まえ、機動的・弾力的に変動するものであり、本プログラムにおける事業進捗等もそれに応じて変わり得るものである。
  また、本プログラムの事業進捗等については、必要に応じて、見直しを行うものとする。