外国船舶
外国船舶監督(Port State Control)について
1.PSC(ポート・ステート・コントロール)とは
PSCは、旗国(船舶の登録国)による監督を補完する立場から寄港国(外国船舶の入港を許可した国)が外国船舶に対して、国際条約を適正に守っているかどうか、直接、その船内に立ち入って監督する制度です。この PSCは、寄港国の権利として、SOLAS条約等の国際条約で定められていて、世界中の各国で実施されています。PSCは、入港する外国船舶全てに立ち入るのではなく、過去のPSCの履歴等を考慮に入れて、船舶を選定し、PSCを実施しています。
PSCは、入港した外国船の停泊時間中に
- 条約証書の有効性の確認
- 船体構造全般の外観検査
- 救命・消防・無線・海洋汚染防止及び船舶から排出される大気汚染防止に係る設備の現状確認
- 航海機器の現状確認
- 船員の資格
- 当直体制
- 船内訓練の適格性の確認
- 安全管理システム(ISMコード関連)の確認・船舶の保安確保(ISPSコード関連)の確認
- 保険証書(油賠法)の確認
等の監督を実施しています。PSCの結果、国際条約の基準に満たない船舶(サブスタンダード船)に対しては、安全に航海できるようになるまで改善措置(重大な不備については航行停止命令)をとらせ、海洋汚染の防止、海上における人命や船舶交通の安全及び船舶の保安の確保を図っています。
2.PSCに関連する国際条約
①SOLAS(1974年の海上における人命の安全のための国際条約)
航海の安全、特に人命の安全の確保及び船舶の保安を確保するために船舶の構造や設備等の基準を定めた条約。
②MARPOL(1973年の船舶による海洋汚染防止のための国際条約に関する1978年の議定書)
海洋汚染を防止するため、船舶の構造や設備等の技術基準を定めた条約。
③STCW(1978年の船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約)
船員の技術や知識に関する国際基準を設けることにより、人的な面から海上における人命と財産の安全を図るとともに、海洋環境の保護を促進することを目的とした条約。
④LL(1966年の満載喫水線に関する国際条約)
船舶に積載する制限を設け、十分な復原性を確保することが海上における船舶の安全を確保する上で極めて重要であることから、満載喫水に関する基準を定めた条約。
⑤COLREG(1972年の国際海上衝突予防規則に関する条約)
船舶の衝突を防止するため、航行状態により定められた燈火及び形象物の掲揚の基準を定めた条約。
⑥IAFS(2001年の船舶の有害な防汚方法の規制に関する国際条約)
海洋環境及び人の健康を保護するため、船体に貝等の海洋生物が付着するのを防止するために用いられるTBT(トリブチルスズ)等の有機スズ化合物を含む船底防汚塗料の使用を規制することを目的とした条約。
⑦MLC(2006年ILO海上労働条約)
船員の雇用条件、居住設備、医療・福祉・社会保障等に係る最低限の要件を確保することを目的とした条約。
⑧BWMC(バラスト水管理条約)
船舶からのバラスト水(船体の安定性を保つための保つための「おもし」として取り入れられる海水)に含まれる水生生物が、バラスト水を介して本来の生息地ではない海域に移入・繁殖することによる生態系への悪影響を防止することを目的とした条約。
放置座礁船対策
外航船舶へのPI保険加入を義務付け
我が国の沿岸に放置されている座礁船の問題等に対処するために、平成16年4月に「油濁損害賠償保障法」が改正され、「船舶油濁損害賠償保障法」が交付されました。
これにより平成17年3月1日からは、国際総トン数100トン以上の外国航路に就航する船舶に対し、座礁・沈没した船舶の燃料油による沿岸・海上の油濁損害や船体撤去にかかる費用を補償する船主責任相互保険(PI保険)へ加入しなければ、日本への入港及び出港ができなくなりました。
日本の港へ入港しようとする外航船舶は船内に証明書等を置くことと、入港前に入港する港の所在地を管轄する地方運輸局(沖縄総合事務局)等へ事前通報することが義務付けられました。
詳細については、下記の国土交通省サイトをご覧ください。